第102話

水族館
267
2020/10/08 11:41
店員
いらっしゃいませーこんにちはー
店員
チケットお預かりしまーす
手際よく定員さんがチケットを確認していく。
店員
お客様。24、25日のクリスマスに来ていただいたカップルの方特典としてイルカのペアストラップをお渡ししているんです。
そう言って私たちにイルカのキーホルダーを渡してくれた。
あなた

可愛い…!

あなた

ありがとうございます。

そういうと店員さんはにこっと笑う。
店員
ごゆっくりお楽しみください。
あなた

やったね。美晴くん。

美晴
うん。
あなた

可愛い、このストラップ。

あなた

それもイルカについてるストーンがクリスマスカラーだよ!赤と緑。

じっと、もらったストラップを見ていると彼は言う。
美晴
それさ、学校のカバンにつけようよ。
あなた

うん!

それから私たちはたくさんの水槽を見て回った。
あなた

チンアナゴだ可愛い。笑

ぴたっと私が足を止めたのはくらげの水槽だった。
あなた

…綺麗。

半透明のくらげが照明に照らされ、ぷかぷかと浮いている。私は目を輝かせながら水槽を見ていた。
カシャ、
シャッター音が聞こえ、その方を向くと彼がスマホをこちらに向けていた。
あなた

…撮った?

美晴
うん。笑
いたずらな顔をして彼は頷いた。
恥ずかしさと彼の笑顔に私も写真をとる。
カシャ、
美晴
え?
写真を見ると満面の笑みを浮かべている彼がぶれなく綺麗に撮れていてとても嬉しくなった。すると私のスマホに向けて彼の手が伸びてくる。
美晴
あなたっ、消してっ、
あなた

え、やだ。美晴くんだって私を撮ったもん。

“おあいこでしょ?”と問いかけると彼はゆっくりと手を下ろした。
美晴
…わかった。
そんな彼が可愛くて私はつい微笑んだ。
するとイルカショーが始まるというアナウンスが流れる。
あなた

美晴くんイルカショーだって!行こ!

美晴
そうだね。
会場にはたくさんの人がいた。
私たちは前から3列目のところが空いていたのでそこに座ることにした。
イルカショーが始まるとイルカ達がスタッフの人の笛の合図でイルカが跳んだり、まわったり…。
次の笛の合図でイルカが深く潜る。そして、大きなジャンプをした。バシャン!と音がしたと思うと大きな水しぶきが私たちにまでかかってくる。
あなた

…っ、あははっ、ぬれたあ、笑

私はカバンからハンカチを取り出すと自分の顔を拭く。美晴くんは大丈夫かと思って見ると彼は袖で顔を拭っていて、前髪からはポタポタと水滴が落ちていた。それを見るとドキッとしてしまって。
あなた

…美晴くん、こっち向いて。

美晴
ん?
私は彼の顔をそっと拭いた。
あなた

すっごい濡れたね、笑

美晴
うん。笑まさかここまでとは、
あなた

っくしゅ、

くしゃみをすると彼はそっと自分の上着を私にかけてくれた。
美晴
少し濡れてるけど。
あなた

でも、美晴くんが、

美晴
女の子は体を冷やしちゃダメだろ?
あなた

…ありがとう。

彼は満足そうに微笑んだ。

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