飛行機に乗って自国に戻る途中。

お兄ちゃんが話しかけて来た

ショー…出たかったなぁ。

でもこれ以上迷惑かけちゃダメだから。

泣き疲れてこんな現実から逃げたくて

目をつむる

…このまま目を覚まさなきゃいいのになぁ

久しぶりの我が家。

母は泣いて喜んでくれた

父もおかえりと言ってくれた

みんな、迎えてくれた

嬉しい

でも、何かが足りない気がする

…あの人とは関係ないか。

《その存在を忘れてしまおうとした》

帰りにお兄ちゃんと二人で選んだ
ゲームで対人戦を楽しむ

楽しい！
初めてお兄ちゃんに勝った！

《…心の穴は埋まらない》

…お兄ちゃんは
トイレとお風呂の時それと寝る時以外
ずっとべったり居るようになった

兄弟だから別にどーって事ないし

気にしないけど、
一人になりたい時もあって…

まぁいっか！

お兄ちゃんなりに
責任を感じてるみたい。

私があの人を部屋に連れて行く時、
気付いてたのに止めなかったから

べっつに気にしてないのになぁ…

一人で居ると寂しくなる。

お兄ちゃんと居ると楽しい。

…でも楽しいってだけ。

そのほかは喜びも何もない

楽しいだけの存在

お母さんも笑ってくれる。

お父さんも。

元に戻っただけ。

それだけなのに…

涙が…止まんないや…

ずっと泣き喚いて
一人、涙を枯らして…

《前みたいに歌えなくなった》

歌おうとすると声が出なくなる

《前みたいに踊れなくなった》

踊ろうとしたら体が動かなくなる

《絵が…描けなくなった》

なにも思い浮かばないの。

【一度幸せを知ったらもう戻れなくなる】

…本当に戻れなくなっちゃったなぁ…

…あれから庭に出る事も許されなくなった

お兄ちゃんが一緒だから

隠れて行くことも出来ない、

…つまんないや。