第67話

みっともない
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2018/05/28 09:10
かや
…遅い。メタドール国って
こんなに遠かった?
くる
たしかに遅いな。
かや
でしょ?なんかおかしくな_
くる
でもな!?
くる
人が寝ようとしてる時に
部屋入って来んじゃねぇよ!
かや
ええー…だって寂しいじゃないか。
話し相手もいないし。
くる
お前は子供かよ。
かや
大きい子供だよ
くる
真顔で言うあたり狂ってんな。
相変わらずきつい態度でくるは接してくる。
それがちょっと嬉しくて
ちょっと。ほんのちょっとだけ悲しく思える
話し相手がいないって言うのは本当。
だけど本心はただ怖いだけ。
また一人に戻ると考えてしまう。
孤独な暗い空間でただ一人絵を描いてる
手を休む事は許されずに
ただ描き続ける
絵の具でベタベタになった絵を
また違う色で塗り被せてく
どんなに綺麗な色を塗ったって
どんなに綺麗に被せたって
ポロポロ落ちたらただのゴミが見えてしまう
だからもう一度被せて塗りたくって
…それでも汚いままで…
かや
!?
僕が俯いて黙っていたら
くるが眠気を我慢してそっと頭を撫でてくれた
くる
…かやだけが苦しいと思うなよ。
その言葉が響いて
耳から離れなくて
でもむずがゆくて
その晩僕は泣き続けた。
それをくるが抱きしめてあっためてくれた
あーあ。くるには敵わないや。
いつだって最初に
気付いてくれるのはくるかロカなんだ。
かや
ありがとう。かい。
くる
こういう時だけ本名で呼ぶなよ。
ほんと…大の大人がみっともないなぁ。

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