翌日______________________
大丈夫。こうきくんが一昨日、言ってくれた。
「『4人は傷つく』なんて、冗談だよ。あの4人なら受け止めてくれる、あなただってわかってるでしょ?」
わかってる。4人なら、この人たちならわかってくれる、きっと。
信じていいものなんて、信じるべきものなんて、分からない。
だからこそ、信じたいものを信じるしかない。
不器用なあなたの一人称にはそうするしかなかった。
裏切られた、と感じたことだってある。
____何度も何度も裏切られた
「親友だよね!」……そう言われた1週間後に彼女はあなたの一人称を見下した
「あなたちゃんのこと、信じてるからね」……そう言われた1ヶ月後に先生は彼女たちの味方をした
「あなたさんのこと応援してます!」……そう言った彼はアンチになっていた
「あなたちゃんしかいないよ」……そう言っときつつ、監督はあなたの一人称を降板にした
あなたの一人称だけだったんだ。あなたの一人称だけが取り残されてる。
入学式のとき、前の席の子が振り返って声をかけてくれた。
「私は◯◯!仲良くしようね!」
どうやって遊べばいいのかな。みんなは何をするのかな。ありがとう、って言えばいいのかな。
あなたの一人称は普通の子になれるのかな。
いっぱい考えた 頑張った わくわくした
次の日、その子はクラスの女の子たちと話していた
あなたの一人称だけがこんなことで悩んでたんだ
あなたの一人称は普通にはなれないんだ
悲しかった。辛かった。惨めだった。
友だちなんていらないんだ。
あなたの一人称には友だちなんて作る資格ないんだ。
あなたの一人称なんか。
活動をはじめて、交際なんて一切できなくなった
する気もなかった
「あなたの一人称はお仕事させてもらえるだけで幸せ」
「自分のやりたいことをやらせてもらえて有難い」
「恋も仕事もなんてあなたの一人称には欲張り」
そう自分に暗示をかけ自分のテリトリーをつくった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。