今日から始まる高校生活。
私は胸を高鳴らせて教室へ向かった。
私あなたは何の変哲もないただの女子高生だ。
ただ一つみんなと違うことは、恋に奥手であるということ。
周りの友達にはみんな彼氏がいる。
だが、こんなに暗い私なんかに彼氏ができるわけでもなく、今まで18年間恋愛などしてこなかった。
けれど今年は、違った。
ホームルームで奇跡は起こった。
先生に呼ばれて入ってきた岸くん(?)に私は目を奪われてしまった。
声にもみとれ、私の心臓はバックバクだった。
先生にそう言われた岸くんは私の横の席に着いた。
あ、笑ってくれた。私はこの気持ちがなんだかわからなかったけれど、岸くんが悪い人じゃなさそうでよかったという安心とドキドキの心情が混ざっていてパニック状態だった。
そして、授業がひと通り終わり私が帰ろうとしている時、岸くんが話しかけに来た。
岸くんはホームルームが終わった瞬間からいつも元気な私とは正反対のグループの子達に引っ張りだこにされていた。
そこから1時間私は岸くんに校内を隅々まで案内した。
いつの間にか岸くんは私のことをあなたと呼ぶようになっていた。
1時間の校内案内中、何度も私の心臓は爆発寸前になった。
この気持ちがなにかはわからないが、やっぱり、初めて感じるものだった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。