第14話

ゆっくりでいいよ
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2021/02/08 12:46
あなた
ごめんおーかみくん
あなた
私…
おーかみ君
ええよゆっくりで
おーかみ君
今日はもう寝な?
あなた
で、でも!
おーかみ君
可愛い彼女が嫌がってるのに続けるようなやつやないよ俺
あなた
ッ…
おーかみ君
おやすみ


優しく笑って頭を撫でてくれたあと私は柔軟剤の香りに包まれた

この香りじゃないのに、私が包まれたいのは

部屋から出ていこうとする背中に呼びかける



あなた
おーかみくんっ!待って!
あなた
ギュッ
おーかみ君
うおっ、どうした?
あなた
違うの…おーかみくんが嫌いになったんじゃなくて
おーかみ君
うん
あなた
その…私
おーかみ君
おーかみ君
ええよ言わんでええ
おーかみ君
あなたが大丈夫だって思えるまで俺待つからさ
あなた
うん…
おーかみ君
ぎゅ
おーかみ君
これは大丈夫?
あなた
うん嬉しい
おーかみ君
わかった
おーかみ君
じゃ今度こそおやすみ
あなた
おやすみなさい





あなたがベットで寝たことを確認したらリビングにある棚からUSBを取り出した


「依頼書」


ここに今まで依頼されて実際に実行された殺しの全てがファイルされとる

大量の情報をひたすら遡る

知りたいのは俺がまだ小さいころの殺しの情報や





「主人を殺して欲しい」





あった







「娘も父親にレイプされている」








やっぱりあなたの父親は俺が殺したんだ


そしてあなたはその父親をまだ忘れてはいない


「あの人のことは嫌いだったよ。でもねあの人と過ごして楽しいと思った時間が少しだけあったことは確かだし」


「お父さんにはどんな形であれどこかで生きていて欲しかった」




いつかの日、涙を流しながら教えてくれた








あなた

真実を知ったら俺の事を嫌いになるかもしれへんよ

人を信じられんようになるかもしれへん

せやけど今の俺は君のことが愛おしくてたまらないんだ























「都内で男女合わせて5人を殺害したとして20歳の男が逮捕された事件で、供述と食い違う点があったとして警察が再捜査を進めています」



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