広い部屋がある居酒屋に到着し、早速レモンサワーを注文する
17人もいるから全部来るのには時間がかかる
隣には流れで一緒に行った壱馬が座っている
いつも一緒にいる慎と壱馬の席は随分離れている
そんなことを話しているうちに全員にレモンサワーが届いた
力矢さんの音頭で打ち上げがスタートした
時間が経つにつれ酔っていくメンバー
私は結構強い方で顔に出ずらいタイプ
お隣さんもお酒に強いみたいで顔色も変わっていない
確かに、話の意図が分からない
陸の言葉に壱馬は困ったように笑っている
私とは真逆なタイプだ
突然私の名前が出されてちょっと焦る
さっきから少し胸がズキズキする
なんとなく居心地が悪くなってトイレへと逃げ込んだ
、
壱馬の好きなタイプをまとめると甘えてくれるふわふわしたThe女の子って感じの人
イケメン女子と言われる私とはほんとに真逆
そのタイプを知った途端胸が痛んで苦しくて
"私はこの感情を知っている"
多分今よりもっと前からあるこの気持ち
ずっと気づかないふりをしてた
それはきっと壱馬からしたら私はただの憧れの存在でしかないと知ってたから
この気持ちは叶わないと悟ったから
トイレの鏡を見つめていた私の瞳からは冷たいなにかがそっと流れていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。