そう言えば、玄弥君に聞きたい事があったんだった。
ずっとここを見学していて、本格的に大会とかあったら行ってみたい!と思ったので、そうやって聞く。
そう言って玄弥君は頷いた。
玄弥君が射撃している所めっちゃ見たい!
と興奮しながら私は言うと、玄弥君は少し笑って、
そうやって承諾してくれた。
やったー!と、1人で喜んでいると、部長さんがニヤニヤしながらこちらを見ている。
この人、またかぁ!からかわないでー!
……ん?なんでこれだけで毎回済ませているんだろう。
私は男子が苦手だったのに。
そんな事を言われたらまず怒っているはずなのに、玄弥君との事をからかわれても全くと言って良い程傷つかない。
しかも怒りすら湧いてこない。
もしかして……玄弥君の事を好きになっちゃったのかな!?
危ない所を助けてくれたから……吊り橋効果ってやつ!?
そう考えていると恥ずかしくなってしまった。そういう事だったんだ!
あれ、気のせいかな、なんか呼ばれてる?
部長さんしつこい……なんだろ?
あれ、玄弥君も話しかけてた?
最初の途切れ途切れに聞こえた声だったのかな?多分そうだけど。
全く話を聞いていなかったけどとりあえず反応してみた。すると、
え、そんな事言われてたんだ。
自覚してた間に。
そう思ったら顔が真っ赤になってしまった。
部長さん絶対察したよ、この顔。
うう、部長さんにバレるなんて……なんて失態を犯してしまったんだ……!
平然を装って、私は玄弥君に
と話しかけて、一緒に帰ることとなった。
ー続くー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。