担当にはならないだろう、そう思っていたのに……。
何故か今、時透無一郎君と同じ班になってしまっていた。
理由は、五分前……。
ー五分前ー
きゃあきゃあ女子に言われまくって注目を集めまくっている時透兄弟の一人、無一郎君は悲鳴嶼先生の所へと向かい、こんなことを言う。
女子がどよめく。
一体誰と一緒の班になりたいんだろう。
しかもなんで悲鳴嶼先生を『さん』呼びなんだろう。
と注意されている。
無一郎君がもしかしたら私を名指ししてくれる……?と女子が考える状況のため、女子の目は無一郎君をガン見して『ぜひ私を!!』と物語っている。
しかし次の言葉で私の思考は停止することとなる。
と無一郎君は呟く。
それを聞いた有一郎君はポカンとしている。
(もちろん私もだけど。)
竈門君は私に話しかけ、
善逸君は奇声を上げて叫び、
嘴平君は意外と冷静な顔で言う。
ええ!?なんで私?話したこと無かったはずなのに……。
女子達の目線はこちらに集まる。
でも、みんなは文句を言えない。
私の班はさっき話していた通り、三人の人気者がいる。
それは皆さんお分かりだろう竈門君、善逸君、嘴平君の三人だ。
無一郎君はこの三人の誰かを知っているのだろうか。見たところ三人は無一郎君のことを知らないようで、困惑している。
しかもみんな、よく考えて!?名指しで呼ばれたの私だよ?なんで私なの〜〜!?
無一郎君はこちらを見てニコニコしている。
会ったこと、ありましたっけ……?
続く
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。