第33話

〜冨岡先生の場合〜episode1
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2020/03/30 08:36
私は帰り道、1人公園にいた。

今は夏真っ盛りでとても暑い。

現在の時刻は夕方くらいなんだけど、セミがまだすごい勢いで鳴いていて、さらに暑さが際立っている。

近所の公園のブランコに座り、
(なまえ)
あなた
あー暑い〜。
と言いながらブランコを真剣にこいで涼もうと考えたけど風すら来ない。

何故にここにいるのかというと、今日は両親がどちらとも仕事が入っていて、いつもなら鍵を渡してくれるのだが、今日は私が寝坊したために鍵を貰っていなかった。

つまり家に帰れないという状況である。

両親からもLINEなどは来ないし、すっかり預けたものだと思われているらしく、連絡も来ない。
(なまえ)
あなた
はぁ、これからどうしよう。
とため息をつき、正面を見てみると予想外の人物が立っていた。
冨岡先生
冨岡先生
あなたじゃないか。なんでこんな所にいるんだ?もう下校しろ。
と話しかけてきたのは冨岡先生だった。

足音も立てないで静かに来るなんて、さすが体育教師だ。
(なまえ)
あなた
冨岡先生いつの間にいたんですか!?
と聞いてみると
冨岡先生
冨岡先生
帰っていたらあなたがいたからな。
という返事が返ってきた。

今日は居残りが少なかったらしく、冨岡先生は早めに帰っていたのだとか。
冨岡先生
冨岡先生
家出でもしてきたか?
と冨岡先生は尋ねてきた。

こんなことを無表情で言える冨岡先生はすごいと思う。

というか家出ではないんだけどね……。
(なまえ)
あなた
家出ではないです……。
私はとりあえず事情を説明した。
冨岡先生
冨岡先生
そういうことだったのか。あなたのご両親は大変だな。俺の携帯で電話しよう。生徒の親の電話番号は控えてあるからな。
と冨岡先生は電話してくれようとしているけど、私はそれを引き止めた。
冨岡先生
冨岡先生
冨岡先生は混乱しているようだ。

「帰りたいのに何故止めるんだ?」とでも考えているのだろう。

私はさらに事情を説明する。
(なまえ)
あなた
両親共々社内にいると電話には絶対出てくれないんです。さっきも電話してみたんですけど、マナーモードになってるみたいで……。
そう。私の両親はいわゆる社畜であり、電話はほとんど通じない。

携帯を持たされているとはいえ、通じないのでは意味が無い。
冨岡先生
冨岡先生
そういうことなのか……。
冨岡先生は考えこんで私にこんなことを提案してくれる。
冨岡先生
冨岡先生
これから行くあてがないのだろう。変な奴から襲われかねない時間帯になってくるから女子一人だと危険だ。俺の家が近くだから来るといい。
(なまえ)
あなた
へっ!?大丈夫ですか?
そんなことしてもらって。
と聞いてみると、冨岡先生は
冨岡先生
冨岡先生
生徒が困っているから『教師として』当たり前のことだ。
何故か『教師として』を強調されたのはなんでだろう……?
(なまえ)
あなた
いいんですか?暑くて熱中症で倒れそうだったんですよ。コンビニとかのお店に涼みに行こうとしても、基本一旦帰らないといけない規則があるので……。
と本音を言うと、冨岡先生はぶっきらぼうに
冨岡先生
冨岡先生
別に構わないが。
と言ってくれた。
本当に優しいなぁ、冨岡先生。
(なまえ)
あなた
ありがとうございます。恩にきります!
そんな感じで冨岡先生宅にお邪魔させて頂くことになった。

続く
しのぶさん
しのぶさん
毎度お馴染みしのぶです。冨岡先生編スタートしました。え?『本当はあなたとくっつけたい気持ちもあります』?何を仰ってるか分かりません。『すみません……。』いいんですよ。次もよろしくお願いします!

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