第50話

〜無一郎の場合〜episode6
1,400
2020/04/10 20:32
靴箱に行き、上履きをローファーに履き替え外へと向かうと一足先に無一郎君は待っていた。
無一郎君
無一郎君
じゃあ行こっか。帰り道同じ方面だったよね、近くではないけど。ま、それこそ覚えてないかもしれないけど。
さっき自分でしたこと忘れたの?
恥ずかしくないの!?

と思うくらい無一郎君は平然としていた。

こっちはすごい恥ずかしいのにっ……!
(なまえ)
あなた
そそそうなんだっ!ご、ごめんねっ。
無一郎君
無一郎君
謝らなくていいよ。一緒に居ればいつか思い出すでしょ。でも……『あのこと』も思い出させるなんて非道なことするくらいならこっちの方が幸せなのかもしれないな。
『あのこと』ってなんだろう?

まぁ、気にしたら負けかな?

あと普通に優しい……けどさっきのことは忘れてないよっ!!

そんなことを言いながら無一郎君は歩き出した。

私が逃げないように手を繋いでくる。

健気だけど中等部女子高等部女子どちらからも羨望の眼差しが突き刺さって痛い。

とりあえず一緒に帰っていると、ニュース番組の記者のような人がこちらへ来て
記者
記者
すみません、将棋大会優勝した時透兄弟のどちらかの方ですか?
無一郎君
無一郎君
まぁ、そうだけど……。後、弟の方です。
記者とか目の前で初めて見た!
うちの学園は色々な活動をするから取材されてるところはよく見るけど、真ん前で見たことは無かったからびっくりした。

そっか、無一郎君は有名人だからなぁ。

こんな子に好かれてて私は大丈夫なんだろうか……?

しかも記者の質問で動じずに話す姿は私の年下とは思えないほど手馴れているように見える。

でも、次の質問で無一郎君は口を止めた。
記者
記者
隣にいる子とは交際してらっしゃるんですか?仲睦まじそうですね。
(なまえ)
あなた
!?
これに無一郎君はどう答えるのだろうか。

無一郎君は一瞬で動揺を沈め、
無一郎君
無一郎君
はい、そう言っていただけて嬉しい所存です。
そう言いきった。

私の顔はさぞ真っ赤なことだろう。

でも、これ東京のニュース番組?
それとも全国の大手ニュース番組?

大手じゃありませんように……。

と考えて二人で家に帰った。
(やけに私流されてるよね……)

続く
しのぶさん
しのぶさん
主人公って大体流されがちですが、そこが小説のいいところだと思うんですよね!次もよろしくお願いします〜♪

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