第26話

~伊之助の場合~episode4
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2020/04/06 09:46
ずんずんと走ってくる嘴平君。
もしやストーカーとかと思われた!?
(なまえ)
あなた
え?あ?ん?へ?
と謎の擬音を発する自分に嘴平君は、
伊之助
伊之助
さっきから俺の事ジロジロずっと見てるだろ。なんか用か?
と言ってのけた。
えぇ!?気づいたの?
(なまえ)
あなた
なんで分かったの……?
と聞いてみたら、
伊之助
伊之助
そりゃあんな見られりゃ、気づくわな!当然だろ?俺は嘴平伊之助だ!なんで気づいたかって?実は俺は肌で色々感じ取れるんだぜ!凄いだろ!
と、自己紹介された。

どうやらこの人は嘴平伊之助君で間違いないらしい。

しかもここから200メートルくらい距離があったのに!?

でも大したものだ。本当にすごい。

私はつい、
(なまえ)
あなた
そうだね!あ、私はあなた。伊之助くんはすごいね!
と親しみやすくて名前呼びとタメ口で話しかけてしまっていた。

伊之助君は、
伊之助
伊之助
ほっ……褒められたって嬉しくねーぞっ!俺をホワホワさすんなっ!
とこころなしか頬を赤く染め、伊之助君は言う。

いわゆる、この人は俺様気質でありながら、典型的なツンデレ属性もあるらしい。
伊之助
伊之助
だが、もっと褒めてもいいんだぜ!だって俺は最強だからな!小さい頃はよくイノシシと遊んだり力比べしてたんだからな!グワハハハ!
えっすごい……。と思ったらそのまま口に出てしまっていた。
(なまえ)
あなた
すごいね!もっと聞かせてよ、その話とっても気になる!
私はそう目を輝かせて問いただしてしまっていた。

だって本当にすごいんだもん。

動物と力比べなんて、金太郎とかの世界でしか聞いたことないし!
伊之助
伊之助
!?うっ……あっ……そっそうか!じゃあもっと話してやるぜ!
と私の剣幕にたじろいたのかな?
私からあからさまに顔を背け、話し出そうとして、何かを思いついたのか、伊之助君は「ハッ!」と叫ぶ。
(なまえ)
あなた
どうしたの?
伊之助
伊之助
俺の勘が正しければ、もう予鈴なるぞ!権八郎の所にもどらねーといけねーんだ!また話そーぜ、あなた!じゃーな!
と言って風のごとく走り去って行ってしまった。

彼の長めの髪の隙間から除く耳は少し赤い。なんでこっち向いてくれないんだろう。

まぁ、いっか。ちょうど話せたし。

とまで考えて私はあることに気づいた。心拍数がやけに多いのだ。ドキドキして息苦しい。
(なまえ)
あなた
ん……?なんなんだろ、これ……。
そう思ったけど私はまだ自分の想いを知る由もなかった。

続く
しのぶさん
しのぶさん
お読みいただいてありがとうございます。
今回は作者が『コメントはないです』と逃げていったもので……。すみませんね。
次もよろしくお願いします。

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