第28話

story 25 🥂✨-不破side-
4,985
2022/11/02 09:50















女の子と話す機会は多くても、実を言うとデートの経験はあまりない。






どうしても、と言う客以外とどこかに出かけたことがないから。






彼女もできたことなんてないし、誰かを好きになったことすらない俺にとっては、当たり前のことなんだけど。






























でも、


























あなたの下の名前ちゃんとのデートは、間違いなく、今までの誰とするデートより楽しかった。











育ちの良さそうな彼女は、水槽の中を優雅に泳ぐ様々な魚たちを、目を輝かせて見つめていた。



本当に楽しそうで、心からの笑顔を俺に見せる。


































ホストらしくないな、

俺。







こんなことで、きゅんとしてしまうなんて。







































いや、これは恋じゃない。

























ただ、あまり会ったことのないような純粋な子が新鮮なだけで。
























そう自分を説得して、気まずくならないよう、あなたの下の名前ちゃんに話題を振る。





彼女は、俺の言葉一つ一つをしっかり聞いてくれて、楽しそうに相槌を打ってくれる。





























.
.
不破さんっ!
今日、すっごく楽しいです!


楽しそうに目を輝かせ、俺に笑いかけてくる。





f.w.
f.w.
ほんま〜?
俺もデートとか久しぶりやから
楽しいわぁ





俺がそう言うと、































.
.
へっ、?





f.w.
f.w.
へっ?



驚いたようにそう言うあなたの下の名前ちゃん。

俺も思わず聞き返してしまう。





.
.
でー、と…















あぁ、なるほど、



























純粋すぎるこの子にとってこれは、デートではなかったんだ。







なんだ、俺だけか。

デートだなんて思っていたのは。





















f.w.
f.w.
デートじゃないん?


聞くと、


.
.
でも、デートって…
付き合ってる2人が行くものじゃ、?










この子は、どこまでも純粋なんだ、きっと。












そう感じると共に、意地悪をしたくなる。























f.w.
f.w.
あなたの下の名前ちゃん、













f.w.
f.w.
それってさ、







































「俺と付き合いたいってこと?」








.
.
なっ?!?!













案の定、あなたの下の名前ちゃんは目を見開いて驚いている。















俺は、少し後悔する。

意地悪しすぎたか、


それに、自意識過剰なやつだと思われたかもしれない、








































固まって口を開かないあなたの下の名前ちゃんに、俺はだんだんと不安になる。











f.w.
f.w.
、?
嫌だった?


.
.
ぜっ、全然!
いやでも…付き合いませんよ、?


f.w.
f.w.
ふーん…















俺のこと好きなんじゃなかったの、?













あからさまに態度俺に惚れてたし、毎日会いに来てたし。

絶対好きじゃん、俺のこと。































なのに、なんで付き合いたくないわけ、?

























f.w.
f.w.
付き合いたくないんだ?






俺はまた、意地悪をしてみた。








するとあなたの下の名前ちゃんは慌てて言う。



.
.
な、ないです!それは!
付き合えるなら付き合いたいですよ!
だって私は不破さんのこと…












好きですもん。












そう、続くと思った。














なんだ、やっぱ好きなんじゃん、。







そう思うはずだったが、

丁度のタイミングで、あなたの下の名前ちゃんのバックから携帯が鳴る。







.
.
す、すみません…












そう言って取り出したスマホには、


















































         「渚羽」
































…っ、







































いや、女友達かもしれない。
























.
.
あ、もしもし、?














スマホの奥から聞こえる声は、

































低くて、ゆったりとした、




あなたの下の名前ちゃんより少し年上くらいの男の声。






























少しだけ、会話が聞こえる。
































「-----、あなたの下の名前、----。」
















呼び捨て、?























































俺の頭に、とある言葉がよぎる。












































彼氏…、


















































その後、あなたの下の名前ちゃんに電話の相手を聞いたが、はぐらかされて教えてもらえなかった。


































ずっとずっと、俺のことが好きだとばかり思っていた。



















でも、





















なんだ、笑


彼氏、いたのかよ。笑






























こうゆうことには、慣れているはずなのに。





夜の街は、嘘で溢れかえっているはずなのに、



































どうして、

こんなにもモヤモヤするんだろう、


















プリ小説オーディオドラマ