第156話

155話
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2021/08/16 05:05
(なまえ)
あなた
疲れた…

そう呟き、木に寄りかかって座る。



結局一睡も出来ないまま日は昇った。



すると部屋に兄が押し入って来て、ジャージを手渡された。



その後はジャージを着て外に行き、他の術式を創始創作術式で習得出来るか試してみた。



最初は禪院家の相伝術式、十種影法術からだ。



伏黒君に玉犬を出すところを見せてもらう。



少々手こずったが、割と"想像"は簡単ですぐに消えてしまったものの、玉犬を出す事に成功した。



その後はひたすら反復練習。

兄の隙を伺っていたが、やはりそう上手くはいかない。



そして今に至る。兄は任務ということで出かけてしまい、その間に休む事にした。流石にオールはキツい。



すると複数の足音が聞こえてきた。



…やめろ、休ませてくれ。近づくな。そのまま通り過ぎろ。



だがその願いも虚しく、足音は私の目の前で止まった。



仕方なく目を開ける。
伏黒恵
伏黒恵
……先輩達が自己紹介したいって。
(なまえ)
あなた
……

ならば真っ先に気になるのはパンダだ。



パンダに視線をやると、ニコリと笑って言った。
パンダ
パンダ
俺パンダ。よろしくな。

自己紹介をパンダで済まされた。何も納得いかないんだが。



けれど追求する気にはならなかった。
???
ツナマヨ。

次はおにぎりの具で話す男の子だ。
伏黒恵
伏黒恵
この人は狗巻棘先輩。語彙がおにぎりの具しかない。
狗巻棘
狗巻棘
しゃけ!明太子!
パンダ
パンダ
よろしくだってよ。

……さっきから知りたい事が何も説明されてない。



ていうか何でパンダは何言ってるのか分かるの?いや、それ以前になぜ喋れる??

真希
真希
禪院真希だ。苗字で呼ばれるのは好きじゃねぇから、名前で呼べ。

禪院って……あぁ。



聞いたことある。確か双子のどちらかが呪いも見えないとか。



気になりはするが、まあ他人の事情にはズケズケと立ち入らない方が良い。



私だってされたくない。
(なまえ)
あなた
…よろしくお願いします。
(なまえ)
あなた
すみません、私寝れてなくって。今は休ませてもらえると有難いです。
伏黒恵
伏黒恵
…そうか。
真希
真希
じゃあ恵、野薔薇と一緒にジュース買って来い。
伏黒恵
伏黒恵
えっ
パンダ
パンダ
オレらは先にグラウンドで待ってるからよ!
狗巻棘
狗巻棘
すじこ〜
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
ほら伏黒!早く行くわよ!

みんなは楽しそうに話しながら行ってしまった。



その姿がマイキー達に重なる。



目を閉じて天を仰いだが、目から溢れた雫は頬を伝った。

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