私が帰ると分かって、虎杖君達や二年生のみんな、硝子さんや夜蛾学長までも見送りに来てくれた。
兄がそう言うと「なんだ…そっか…」と明らかに肩を落とす千冬。
カワイイかよ。後で本物だよって言ってあげよ。
詳しくは人形でできた呪骸らしいけど…パンダも呪骸も一緒でしょ!(哲学)
伏黒君が差し出して来たのは刀を入れるあの袋。
私は伏黒君から降魔を受け取ると、背中に背負った。
すると兄は私と肩を組んで目隠しをパッと外した。
兄は東卍に自分の顔を見せびらかすように私と顔の高さを合わせ、自信満々の笑みを浮かべた。
東卍と言えば想像通り兄の顔を見て目を見開いていた。
二人は呆れた声で言う。だが兄は聞こえていないようにスルーした。
私と身長差スゴいけど。
そうこうしていると、
とマイキーに呼ばれた。
見るとマイキーはバブにまたがって、自分の後ろをトントンと叩いていた。
私は一度高専のみんなに向かって深く頭を下げると、マイキーの元へと駆け出した。
バブに跨がると、マイキーの腰に腕を回そうとして一瞬手が止まる。
思いきって腕を回す。なんだか少し緊張してる気がする。
そう返事すると、マイキーの纏う空気が一瞬でガラリと変わった。
久しぶりに総長のマイキーの姿を見た。
そこら中からバイクの排気音が聞こえた。
…久しぶりだな、この感じ。…やっぱり私の居場所はここだ。ここが良い。
マイキーは一番前を走り出す。
私は一度振り返ると、兄さん達に大きく手を振った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。