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第1話

171話
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2021/08/24 15:30
五条悟
五条悟
期待通り、いや、期待以上の成長速度だったよ。たった2ヶ月で僕と並ぶ力をつけた

兄はそう言うと私達に近づいて来る。



マイキーは抱きしめている腕の力を強めた。



私も思わずマイキーの背後に隠れる。

五条悟
五条悟
…手、出しな?
(なまえ)
あなた
…え?
五条悟
五条悟
それ取ってあげる。もう必要ないからね。

兄が指さしたのは私の腕に着けられた腕輪。



一瞬戸惑ったが、私は素直に腕を差し出した。

五条悟
五条悟
よしっ。……あなた

名前を呼ばれて肩が跳ねる。



私が顔を上げると、兄は着けている目隠しを取り、私を見つめて言った。

五条悟
五条悟
今からあなたは自由だ。彼らと帰って良いよ。
五条悟
五条悟
…こんなやり方しか出来なくてゴメン。

そう言うと兄は長いまつ毛を伏せた。



自分と同じ髪色、自分と同じ"五条"で、殺 そうと思ったほど憎い私の兄。




けど。





(なまえ)
あなた
…別に謝らなくて良い。許す。
五条悟
五条悟
……え?



兄は目を開けてポカンとした。


(なまえ)
あなた
…やり方は気に入らない。腹殴られた時だってマジで痛かったし、マジで殺 したかった。
(なまえ)
あなた
でも…私を想って守ってくれた事に変わりはないから。
(なまえ)
あなた
だから……許す。

兄さんの目をしっかり見て、未だ驚いた表情を浮かべている兄さんに言った。
(なまえ)
あなた
ありがと兄さん。守ってくれて。

"過去"の兄さんが憎かっただけで、"今"の兄さんはそうじゃない。



たった今そう思った。



やり方がやり方だが、兄さんは家のためではなく、私のために私を強くしてくれた。



家の人間が家のためでなく、私のために何かしてくれたのは、兄さんが初めてだ。



初めて家族が…私を想ってくれた。



それが嬉しかった。

(なまえ)
あなた
だから…これからもよろしく、兄さん。

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