高専を後にし、私は武蔵神社で話を聞いた。
…ケイちゃんは眠いとか言っていきなりすれ違った奴
殴ったり、しょっちゅう内輪揉めしてたけど…
けどなんか…今回のはなんか違う。ケイちゃん、東卍から抜ける理由を無理やり作ってない?そんな感じがする
顔を顰める。
…やっぱりおかしいでしょ。ケイちゃんは本当に大切に思ってる仲間を無闇に傷付けたりしない。
しかも千冬だよ?誰よりも自分を支えてくれた千冬にそんな事するなんて…
ただ今帰って来た私には、8・3抗争以来の事はよく分からない。
……稀咲、とか…?
あの目はとにかく最悪だ。絶対何かある。…と言ってもただの勘だから断言は出来ない。
私は盛大にため息をついた。
みんなが立ち上がる中、一人だけなかなか動かない人がいた。
微かに千冬がケイちゃんを呼ぶ声が聞こえた。
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スマホをつついている手元から顔を上げる。
目の前には芭流覇羅の特攻服に身を包んだケイちゃんが立っていた。
「やれやれ。」と言いながらわざとらしく肩を竦める。
するとケイちゃんは眉を寄せて苛立つ。
私がそう言うと、僅かにケイちゃんが反応する。だがケイちゃんはすぐいつもの調子に戻った。
私がそう言うと、ケイちゃんは更に顔を顰めて言った。
ケイちゃんの言葉に目を見開く。
2年ぶりか。2年ぶりなのに、いきなりケンカをしなくちゃいけないのか。
…しかもかけがえのない友達2人と。
ギュッと手を握りしめる。
ケイちゃんを見つめてそう言うと、ケイちゃんはハァ…とため息をついた。
ケイちゃんは身を翻すと、来た道を戻って行った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。