ポケットの中に絆創膏入れてたんだった!良かった〜。
三ツ谷君は絆創膏を受け取ろうとするが、私は手をヒョイっと避けて拒む。
断る三ツ谷君のことはいざ知れず、私は勝手に絆創膏を貼った。
「どうぞ」っと手を差し出せば、躊躇いがちに握り返してくれた。
グイッと引っ張って三ツ谷君を立ち上がらせる。
もう一度深く頭を下げた。
「もう良いって、気にすんな。だから顔上げろ。」
そう言ってくれたので顔を上げる。
そう笑顔で言ってくれた。
何だ、何なんだこの優男は。優男過ぎないか?
気まづくてその場をすぐ離れようとした。
そこでハッとする。
不良達だけなら五条家まで伝わることは無いと思っていたが、状況が変わってしまった。
ガシッ!!
三ツ谷君の両肩を掴むと、本人は目を見開いて驚いた。
そりゃそうだ。見ず知らずの人間に、こんな切羽詰まった顔で迫られたらそうなる。
だがこれだけは譲れない…!!私の生活が掛かってる…!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。