心地よい揺れに少し眠くなっている時だった。
少し遠くから叫ぶ声が聞こえてきた。
パチッと目を開け、一瞬で眠気が吹っ飛ぶ。
この声は…
マイキーがゆっくりと下ろしてくれ、すぐドラケンの元に駆け出した。
すると腰をガシッと掴んで、高く私を持ち上げる。
そして走っていた勢いでそのまま二回転した。
ドラケンは私を下ろすと嬉しそうに笑ってくれた。
ドラケンの後ろを見ると、東卍メンバーがノビていた。
そう言えば兄が全員蹴散らしたとかなんとか…
兄さんに関心していると、ボロボロになったタカちゃん達が駆け寄って来た。
あれ?そういえば…
千冬に懐かれてるケイちゃんが羨ましい。だって本っ当に千冬良い子だもん。カワイイし。素直だし。
ケイちゃんの話を持ち出すと、何故かみんなの表情が暗くなった。
言いかけた千冬の言葉を誰かが遮った。
声がした方を見ると、メガネをかけた見たことのない東卍メンバーがこちらに歩いて来ていた。
何故だか嫌悪感が湧いてきて、少し顔を顰める。
今度は思いっきり眉を寄せた。
隣を見ると、タケミっちと千冬も何やら稀咲を睨んでいた。
一度揉めたチームの残党を入れて、しかも隊長なんて。
私は稀咲を真正面から睨んで言った。
…あぁ、わかった。
稀咲を見ていて気づいた。初めて会ったのに、何がそんなに気に入らないのか。
目だ。
吐き真似をする。
あーマジ吐きそう。吐いて良い?吹きかけてやるから。
タケミっちと千冬は腐ったミカンという例えを気に入ったようだった。
少し怒り気味にタカちゃんが言う。
タカちゃんにデコピンされる。
痛いって言ったけど…全然痛くなかった。優しい。
今度は少し強めにされた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。