頬にできた口は私に向かって言っているようだった。
虎杖君は口のできた場所を手で塞ぎ込む。
するとその塞ぎ込んだ手の甲にまた口が浮かんできた。
虎杖君はまた口をペシンっと手で塞ぎ込んだ。
は…何今の……術式か何か?…いや、今のはどう見ても呪いだった。
言葉が理解出来なくて復唱した後、信じられなくて叫んだ。
聞けばそこにいる伏黒君を助けようとして食べたらしい。
いや、それでもよく食べれたな。
あれ?待てよ?ということは私、宿儺に気に入られたってこと?
……ヤバー…どこ気に入ったのか知らないけど、全っ然嬉しくねぇ…!
呼ばれて顔を向けようとすると、いきなり顔を掴まれて拗ねたような顔をするマイキーが目に入った。
そう言うと頬を膨らませてくるマイキー。
それが可愛くって思わず笑ってしまう。
そう言いながら私のほっぺたをグイグイと引っ張ってくる。
私がそう言うとマイキーはため息を着いて、あるメールを見せてきた。
ペコっと虎杖君たちに頭を下げる。
兄がブンブンと手を振ってくれる。
マイキーは私の手を取って走り出した。
_____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!