移動しようとした瞬間、女の子の声が響いた。
振り返ると可愛らしい女の子が歩いて来ていた。
度胸あるなーこの子。
彼女かな?今日デートでもあったのかな。
そんなことを考えていると、女の子が左手を高く上げた。
ん?何??
パチンッ!!
いきなり女の子がマイキーをビンタした。
ヤバ、メッチャ低い声出た。でも多少イラついてる。本当に多少。
女の子はタケミっちの手を取って歩き出す。
……へぇ。スゴいなこの子。それでマイキー殴れるんだ。
そこでイラつきなんてスっと無くなった。
ドラケンは女の子の手を掴んでスゴい顔をしている。
それに便乗してみた。
結構頑張って怒ってる声を出すと、タケミっちが震えた。
アンタじゃない。
…本当にスゴい。背を向けているけど、私達にちゃんと言い返す。好きな人の為にそこまでするのか。
思わず笑みが零れそうになる。
その子は私とドラケンを睨んで言った。
イイ、気に入った。
初めて自分から友達になりたいと思った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!