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2021/05/16

第1話

1話
 道端に咲いたタンポポが生徒の足にぐしゃりと踏み潰された。タンポポは何事もなかったかのようにまたピンと背筋を伸ばして辺りを見渡す。
生徒
おはようございまーす
 生徒は蟻のように列を成して、出席簿を持つ先生にぺこりとお辞儀をして大口を開けた校門をくぐっていく。あなたもまたそれに倣って校門をくぐると、大きな校舎が見えてくる。
 数多くのデュエリストが通うここGX学園では、朝8時のデュエルに合わせて7時45分からホームルームが始まる。現在の時刻は7時30分、歩いてちょうど間に合うだろう。

 あなたが校舎に入り教室の扉を開けると、すでに教室はざわついていた。いつも新しいカードの話や新しいデッキの話で盛り上がっている教室ではあるが、今日はいつになく浮足立っているような気がした。自席の前に来ると、隣に空白の席が用意されている。
生徒
ねえねえ、今日来る転校生ってどんな子かな?
(なまえ)
あなた
え……?
 突然話を振られたあなたは驚いた。そういえば昨日、先生がLHRで転校生が来るという話をしていた気がする。今日がその日だったか、とあなたは心中で手を打った。
生徒
アメリカの子らしいよ
生徒
えー、わたし英語わかんないよ、仲良くできるかな
生徒
あなたさん英語できる?
(なまえ)
あなた
んー……じつは全然
生徒
そっかぁ、日本語できる子だといいなぁ
 そんなことを話していると、校舎にHRの時間を知らせる鐘が鳴り響いた。鐘の音を聴いた生徒は各々の席に戻っていく。少しばかりの静けさを取り戻した教室は、先生に連れられて男子生徒が現れるとまた元の喧騒に溢れかえった。
 その男子生徒は、目の覚めるような蒼色の髪をしていた。目も同様に晴れた日の夏の空のようなまばゆいばかりの蒼で、見る者をうっとりさせる。男子生徒は黒板に拙いカタカナで『ヨハン・アンデルセン』と書くと、にこりと生徒たちに向かって微笑みかけた。
ヨハン
ヨハン
ヨハン・アンデルセンです。よろしくお願いします
先生
席はあなたの隣だ。あなた、教科書を見せてやってくれ
(なまえ)
あなた
はい
 あなたは背筋をぴっと伸ばして答えた。その脇をヨハンが通り、がたがたと音を立てながら椅子に座る。くっつけられた机の先、ヨハン・アンデルセンが社交的な笑みを浮かべている。
ヨハン
ヨハン
隣、失礼するね
(なまえ)
あなた
あ、う、うん……
ヨハン
ヨハン
かわいいなぁ~、キミ。名前は?
 突如かわいいと言われたあなたは驚いた。はっきり言ってあなたは太っているし、かわいいと形容されるような容姿をしているほうではない。しかしアメリカではそういったお世辞を言うことはよくあることなのだろうと思い直す。
(なまえ)
あなた
……あなただけど
ヨハン
ヨハン
へえ~、あなたちゃんか。俺ヨハン。よろしくな
(なまえ)
あなた
よろしくね
 あなたはヨハンから差し出された手をぎこちなく握り返した。カードをるような繊細な作業をする人によくあることで、ヨハンの手は女性のように柔らかくほっそりしていた。