無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

21
2021/05/21

第6話

6話
 翌日ヨハンの家に向かったあなたが玄関を開けると、すっかり綺麗に身を整えたヨハンがそこにいた。ワックスでも使っているのか、髪は最初に会ったときよりもすっきり跳ねが抑えられていて、服からは薔薇の上品な香りが漂ってくる。
ヨハン
ヨハン
入って入って!
(なまえ)
あなた
お邪魔しまーす
 勧められるまま入った部屋のテーブルには、金で縁取りされた上品なカップとティーポットがすでに用意されていた。ティーポットからは温かな湯気が湧きたっている。
 ヨハンはベッドに腰かけ、隣にできたスペースをぽんぽんと叩いた。
ヨハン
ヨハン
座って
(なまえ)
あなた
え、と……
 ベッドに男女二人という構図であなたの脳裏に別のことが浮かんだ。一度浮かんでしまったそれはあなたの思考を掴んで離さない。
 あなたが立ちすくんでヨハンとベッドの間に視線を行き来させていると、ヨハンがふっと笑った。
ヨハン
ヨハン
なに? 期待でもしてる?
(なまえ)
あなた
え?
 ヨハンは立ち上がると、あなたの手を掴んでぐんと引っ張った。腕を引かれるまま抱きしめられる形になったあなたの肩を押し、ベッドに押し倒してしまう。ベッドにあなたの髪が散らばった。
 ヨハンの手があなたの太腿からスカートの中へ伸び、ゾクゾクと知らない感覚に肌が震える。ヨハンの爪に引っかけられてするするとスカートが捲れ上がっていき、冷たい空気が肌を撫でた。
ヨハン
ヨハン
こういうこと、とか
 ヨハンはあなたの耳元に唇を寄せて甘く囁く。
(なまえ)
あなた
ひゃ
ヨハン
ヨハン
こういうこと、とか
 ヨハンのもう片方の手があなたの脇腹を伝って豊満な胸に伸びる。今までに味わったことのない感覚に脳が犯されていき、くらくらする。酸素が足りない。
(なまえ)
あなた
ち、違う……!
ヨハン
ヨハン
残念
 拒まれたヨハンはそれ以上の侵入はやめてぱっと手を離した。解放されたあなたはすぐさまベッドから起き上がり、ヨハンとすこし距離を空けて座る。ちらり、横目でヨハンを見ると何食わぬ顔をしていて、開いた口からため息が零れた。
(なまえ)
あなた
もー……びっくりしちゃったよ
ヨハン
ヨハン
十代とこういうことしないの?
(なまえ)
あなた
……うん
 あなたがすこしの逡巡の末に頷くと、ヨハンは驚いた様子だった。
ヨハン
ヨハン
あ、ならごめん。仲のいい若い男女はみんなシてるって思ったからさ
(なまえ)
あなた
なにそれ
 あなたは睨みつけるが、ヨハンはどこ吹く風だ。
ヨハン
ヨハン
違うのかあ。十代はヤりたいと思わないのかな
(なまえ)
あなた
十代くんに聞いてよ
 ついつい声がとんがってしまう。
ヨハン
ヨハン
それもそうだ。あなたは?
(なまえ)
あなた
んー……まだ怖いかな
ヨハン
ヨハン
そっか。ならまだしないよ
(なまえ)
あなた
うん
 よかった、とあなたは安堵した。
 さっきは嫌がったら離してもらえたが、何度もそれが続くとは限らない。いつか本当に食べられてヽヽヽヽヽしまうのではないかと恐れていたあなたにとって、ヨハンの言葉は嬉しいひと言だった。
ヨハン
ヨハン
でも初めてするときは俺としよう。優しくするからさ
(なまえ)
あなた
え?
ヨハン
ヨハン
約束、だぜ?
 ヨハンにあの声で囁かれると頭がぼーっとして、なにも考えられなくなってしまう。
 気づけばあなたは頷いていた。
 ややあって自分はとんでもないことを約束してしまったのではないか、という漠然とした不安があなたを襲った。
ヨハン
ヨハン
やった!
(なまえ)
あなた
そんなに喜ぶほどのことかな?
ヨハン
ヨハン
初めてを貰えるって、喜ばない男はいないと思うけどなぁ
(なまえ)
あなた
そうなんだ
ヨハン
ヨハン
そうそう。俺は処女厨じゃないけどさ、やっぱり特別に感じるものだぜ
(なまえ)
あなた
しょ……すごい言葉知ってるね。そういえばヨハンくんって日本語かなり上手だよね
ヨハン
ヨハン
小さいころ日本にいたし、日本語学校も通ってたしね。おかげで十代の言葉遣いがすこし伝染っちゃったけど
 ヨハンの言葉遣いにはどこか十代を思わせるものがあるのはそれが理由だったのか、とあなたは納得した。十代のイメージに引っ張られているせいもあるかもしれないが、かわいい喋りかただと思う。
ヨハン
ヨハン
ちょっとは俺に興味出た?
(なまえ)
あなた
出たかも
ヨハン
ヨハン
それは嬉しいなぁ! 俺の気持ち、すこしはあなたに届いたかな?
(なまえ)
あなた
え? あ、どうだろうね
 きらきらした目をして尋ねてくるヨハンに、あなたは苦笑いを返す。
ヨハン
ヨハン
俺の好きに解釈していいってこと?
(なまえ)
あなた
そういうこと……なのかな?
ヨハン
ヨハン
へへ。じゃ、届いたってことで
 ヨハンは悪戯が上手くいった子供のように笑う。先ほどの妖艶さを知っているぶんその表情はより一層あどけなく見える。あなたがぽーっとその表情に見惚れていると、そのことに気が付いたヨハンが茶目っ気たっぷりに笑う。
ヨハン
ヨハン
あ、その顔、俺にときめいちゃった?
(なまえ)
あなた
も、もう……
ヨハン
ヨハン
徐々にだけど俺のこと見てくれて嬉しいよ
 急に真剣な表情でそんなことを言われたらドキドキしてしまう。ヨハンは俯くあなたの額にキスを落として「じゃあ、俺夕飯作って来るからちょっと待っててね」と言い残し、キッチンのほうに向かった。

 しばらく経つと、キッチンからいい匂いが漂ってくる。生まれてから一度も嗅いだことのない匂いだが、妙に食欲をそそられる匂いをしている。あなたは自分がいつの間にか空腹になっていたことに気が付く。
 キッチンから肩をそびやかしたヨハンが現れ、テーブルの上にドンッと皿を並べる。
ヨハン
ヨハン
お待たせ! これが俺の本気! 太麺ミートパスタ!
(なまえ)
あなた
わー! すごい、太麺だ! わたしパスタ大好きなの!
ヨハン
ヨハン
そうなのか? 俺も好きだぜ
(なまえ)
あなた
いっただきまーす
 あなたは手を合わせるのもそこそこにミートパスタを味わった。
(なまえ)
あなた
美味しい!
 日本のものと違って、香辛料がたっぷり入ったミートパスタだった。太麺だけあって食べ応えは充分だ。味付けはこってりとしていて、それでいてしつこくなく、いくらでも食べられてしまいそうだ。あなたのフォークを持つ手は止まることを知らず、するするとパスタを胃に収めてしまう。
(なまえ)
あなた
ごちそうさま!
 お腹いっぱいになったら帰る時間だ。
 あなたはそろそろと席を立ち、荷物を片手にヨハンに帰る旨を告げる。
(なまえ)
あなた
そろそろ帰るね
ヨハン
ヨハン
送っていこうか?
(なまえ)
あなた
隣だからいい
ヨハン
ヨハン
そっか、じゃあまた
(なまえ)
あなた
またね
 あなたはすっかり暗くなった夜道を帰りながら、あのパスタを思い出していた。
 さっき食べたばかりなのにもうまた食べたくなっている。それほどに美味しかった。
 お弁当に持ってきてもらえるようリクエストしてみようかな、とあなたはぼんやり思った。