部長が死んだ次の朝。
指輪殺人事件とニュースで取り上げられた。
『俺ってすごいな(笑)ニュースになってる』
俺、めっちゃ有名な人じゃん。
毎回ニュースを聞く度嬉しくなった。
朝ごはんをぱっと済ませて会社にむかった。
デスクに着くと隣の席の如恵留が話しかけてきた。
川島「ねぇ阿部くん。部長殺されましたね」
やっぱりその事か。
犯人が俺だって知らないのに可哀想。
『指輪殺人だっけ?なんで部長なんだろうね』
川島「ねぇでも感謝してるんだよね犯人に」
『確かにそれはあるかも』
川島「部長が消えてせいせいした」
『そうだな』
仕事をしていても部長の顔がうかぶ。
あんなに威張りつけていた部長が
苦しみ息をしないくなり血に染まる。
思い出すだけでニヤニヤしてくる。
永瀬からLINEが来ていたけど
[残念だけど部長さんなくなっとたで。証拠もないもなかった]
だって。
それはそうでしょ。
俺が証拠を残すわけがない。
[そっか……永瀬お願い。犯人を見つけて]
そうだよ永瀬。
俺を追い込んで
俺を捕まえてみなよ。
♡25
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!