第17話

思いを詰めるチョコレート
閉店後。
久留 柑奈
久留 柑奈
本日は、ご迷惑をお掛けして、本当に申し訳ありませんでした!
スタッフ
スタッフ
大丈夫、気にしてないよ!
スタッフ
スタッフ
うんうん。
久留さんが最後に言ってた言葉聞いて、ざまあみろと思ったよね……!
スタッフ
スタッフ
お客さんたちも、柑奈ちゃんは何も悪くないって応援してたもん

改めて、スタッフ全員に謝ると、みんな快く許してくれた上に、温かい言葉までくれた。
久留 柑奈
久留 柑奈
ありがとうございます……
スタッフ
スタッフ
また頑張ろうね!

早番のスタッフは先に退勤して、いつも通り、私は閉店業務に取りかかる。


モップで床掃除をしていると、純弥さんが近づいてきた。
伊豆 純弥
伊豆 純弥
今日はお疲れさま。
あまり悪く言いたくはないけど、聞いていたよりも結構奔放ほんぽうな子と付き合ってたんだね?
久留 柑奈
久留 柑奈
はい……。
当時はあっちから告白されたので、舞い上がってしまって。
言われるがままに服装とか髪型とか、彼好みのものに変えてたんですけど。
そのストレスで、甘いものばかり食べてたら、こうぶくぶくと太って……

あまり思い出したくないことだったけれど、今になっては笑い話だ。


純弥さんも苦笑した。
久留 柑奈
久留 柑奈
でも今は、別れてよかったなって思います。
世の中にはもっと、素敵な人がたくさんいるって分かったから……

今日の出来事があったからこそ、私は自分の気持ちを確かめることができた。


その夜、私はいくつかの材料とスイーツ作りの本を買って、帰宅した。


バレンタインデーにチョコレートのお菓子を渡すべく、まずはテンパリングから練習を始める。



***



バレンタインデー、当日。


一週間続いたバレンタインフェアも、今日で終わりだ。
久留 柑奈
久留 柑奈
おはようございます!

大学の講義が終わって、一度自宅にラッピング袋を取りに行き、それを店の冷暗所に隠した。


当日販売分のガトーオペラを目的に、お客さんは口コミを通して増え続け、しまいには店の外に行列を作った。
久留 柑奈
久留 柑奈
大変お待たせいたしました。
こちらでお間違いないでしょうか?
常連客
常連客
はい!
わー、これすっごく楽しみだったんです!

スイーツを受け取ったお客さんたちは、誰もが幸せそうで。


そんな慌ただしい時間が過ぎ、当日分の限定スイーツは早々と完売した。


ガラスケース内のスイーツも完売が相次ぎ、通常の閉店時間よりも早く全ての商品がなくなった。


もしかすると、クリスマス以上に反響があったかもしれない。
伊豆 純弥
伊豆 純弥
今日のカフェ側は利益うっすいなー。
柊伍、もう閉める?
栗栖 柊伍
栗栖 柊伍
そうだね。
完売だって分かって、中に入らず帰って行くお客さんがほとんどだ
飴谷 慧斗
飴谷 慧斗
分かりました

カフェだけを目当てに来るお客さんは、今日ばかりは少ない。


早めに閉店して、反省会をすることになった。
栗栖 柊伍
栗栖 柊伍
じゃあ、来年はもっと限定個数を増やして販売できるようにしよう。
一年目にしては、成功したんじゃないかと、僕は思ってる

店長の言葉に、拍手が起こる。


バレンタインフェアは大成功に終わった。



***



片付けも済ませ、スタッフ全員が解散となった後。


〝彼〟だけは、店の外でそわそわと落ち着かない様子。


私が事前に呼び止めているからだ。
久留 柑奈
久留 柑奈
(い、いける……! 大丈夫!)

震える手にラッピングした袋を抱え、私は彼の元へと向かった。



【あなたが選んだ〝彼〟は……?】
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