第55話

stay with me-第1章-
287
2021/03/27 11:00
-プロローグ-



"先生…付き合ってください"

その一言が言えない臆病な私。
でも、
そばに置いてくれたなら

寂しい想いなんてさせないのに…

きっと最後までさせないのに…
"先生のことが大好き"だから。


♡あなたside♡
吉野北人
吉野北人
次の問題は、斉藤答えて!
おーい、斉藤?
私には片想い中の相手がいる。
それは同級生ではなく、数学の吉野先生。

そして今は授業中。
"今日もかっこいいな"
そう眺めていると指名されていたらしい。
(なまえ)
あなた
っはい!
吉野北人
吉野北人
ボーッとしてるなよ!
慌てて返事をすると、苦笑される。
(なまえ)
あなた
a=4、b=8です!
吉野北人
吉野北人
正解、じゃあ今日はここまでー
答えを言い終わると同時に鳴ったチャイム。
吉野北人
吉野北人
あっ係…
宿題のノート持ってきて!
(なまえ)
あなた
わかりました//
礼をする前、思い出したように付け加えられる一言。目が合うのは私が数学係だから。
(なまえ)
あなた
失礼しまーす
クラス分のノートを回収して職員室を覗き、
彼がいることを確認してから入る。
吉野北人
吉野北人
おーありがと!
そう私の大好きな顔で微笑んでくれる。
それに胸が高鳴るのを感じる。
吉野北人
吉野北人
今日は答え見ずにやった?
(なまえ)
あなた
えっ?いや…
会話を続けてくれた嬉しさか…
心を読まれたからか…
先生からの質問にたじろぐ。
吉野北人
吉野北人
ほんと、嘘下手だなー斉藤は
「そんなこと言ってると、また赤点取るぞっ」
(なまえ)
あなた
すみませんっ
今日のところ難しくて…
(嫌われちゃうかな…)

好きな人に嫌いになられたら、ショックが大きい。
だけど今やっている二次関数は私の1番苦手な単元で、授業のペースについて行くことができず分からない問題ばかり…
(恐い…)

そんな想いから思わず俯くと、
吉野北人
吉野北人
いつでも質問来ていいから!
「あなたが頑張ってること知ってるから…」
(なまえ)
あなた
っ…//
また私の気持ちを察すように頭に手を置き、
優しい言葉をかけてくれる。
その仕草と、急な名前呼びに私の鼓動は早鐘をうつ。
(なまえ)
あなた
ありがとうございます//
失礼しますっ
ふとした時に"あなた"そう呼ぶ先生。

(きっと意味なんてないんだろうな…)
職員室の扉を閉め、高鳴る胸を押さえながらも頭は何故か冷静だった…
(なまえ)
あなた
先生っ
放課後の職員室。
吉野北人
吉野北人
ん…どーした?
"いつでも質問来ていいから"

そう言われた私はその日早速聞きに来ていた。
(なまえ)
あなた
ここがわからなくて…
吉野北人
吉野北人
どれ?…あーこれか
教科書を広げてその箇所を指すと、そこを覗き込み一言呟く。そして隣の椅子に座るよう促してくれる。
吉野北人
吉野北人
この例題と同じように
やればいいから…
そして私が理解するのを1つひとつ待って
教えてくれる先生。
(なまえ)
あなた
出来た!
吉野北人
吉野北人
ん…正解
じゃあ次1人でやってみな!
先生が作業をする横で解き始める。
(なまえ)
あなた
っ…//
チラッと横目で見れば、真剣な眼差し。
吉野北人
吉野北人
出来た?
(なまえ)
あなた
あ…あとちょっと、です
そう聞いてくる先生に
咄嗟にノートを隠しながら嘘をつく。

この時間を1分1秒でも長く続けるために…






でもこの後私は、

引き伸ばしたことを後悔することになるんだ…

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