第57話

stay with me-第3章-
266
2021/03/29 11:00
-one year ago-
♡あなたside♡
(なまえ)
あなた
う…頭痛い、
高校の入学式。
よりによって今日私は体調を崩してしまった。
(でも学校行かないと…)
(もし今日休んで、学校行った時にはもうグループができていたら…)

そんな思いから、
必死に新しい制服に袖を通し家を出る。
明莉
明莉
あなた!同じクラスだねっ
おぼつかない足取りのままやっとの思いで、学校に着く。そしてクラス掲示板をぼんやり眺めていると、横から抱きつかれる。

中学から一緒の明莉。
名前の通り明るく、その明るさは周りを笑顔にさせる。私もそんな彼女にたくさん支えられてきた。
(なまえ)
あなた
よかった…
明莉
明莉
ね!…ってかちょっと熱くない?
くっついている所から
熱があることが伝わったのだろう…
(なまえ)
あなた
ちょっと、風邪ひいて…
だから迷惑かけないようにそっと離れ、
必死に笑顔をつくる。
明莉
明莉
えっ大丈夫?
…無理そうだったら保健室行こ?
(なまえ)
あなた
大丈夫、ありがと!
心配そうに顔を覗き込む彼女にそう返しながら教室に向かった。
"大丈夫"
そう言ったものの、体調は悪くなる一方。

そして遂に

"一同起立"教頭の一言に皆が立ち上がった時、
目の前が真っ白になり、フワッと身体が浮く感覚。
(やばっ…倒れる)
そして気がつくと、真っ白の天井。
吉野北人
吉野北人
あ…気づいた?
(あれ?入学式…)

状況が飲み込めないまま、声のした方を見る。
「ここは保健室、体調どう?
…ってか熱あるのにきたでしょ」
固まったままの私の心を見透かしたように笑う彼。
(なまえ)
あなた
っ…すみません
吉野北人
吉野北人
無理しちゃダメだよ!
「倒れて頭とかうたなくてほんと良かった…」
当たっていたそれに素直に謝ると、
彼はほっとした表情で呟く。
(助けてくれたんだ…)
この時私は、まだ名前も分からない吉野先生に


"恋に落ちた"


(なまえ)
あなた
"先生を照らす光になりたい"か…
あの時助けてくれて、優しい言葉をかけてくれた先生

それは"私にとっての光"だった。
だから、

今度は"私も少しでも力になりたい"
そう想ったんだ…
(なまえ)
あなた
先生、ノート持ってきましたっ
吉野北人
吉野北人
斉藤、ありがと!
"彼にとっての光になりたい"と…




最初は、好きな人が目の前にいる…
話せなくても毎日会えることが幸せだった…

でも、

今は抱きしめたい…
彼の香りに包まれたい…

そう貴方のことになると欲張りになってしまうんだ
(なまえ)
あなた
どんどん好きが大きくなる…
「叶わないのに、忘れられない…」
目を閉じても、浮かんでくる彼の存在に一睡も出来ないまま朝を迎えた。

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