踏み出せないままで名付けた最後の一歩は…
"最初の一歩"なんだよ…
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♡あなたside♡
夢、未来、希望…恋そんなの私なんかが持っていちゃいけないんだ…
先生がそう言いながら配っているのは進路希望調査用紙。それに、
(まだ高校に入って1年生なのに…)
無意識に溜め息が漏れる。
急に上から降る声。顔を上げると高校に入ってから仲良くなった彩光が私の机まで来ていた。
彼女の声に被さるように横から顔を覗かせるのは彩光の彼氏、川村くん。しかも確信をつく一言にどうしたらいいものか考え、曖昧な微妙な間がうまれる。
本当の理由なんて言えるわけない…
話を変える違った声が聞こえる。
(助かった…)
吉野くんが私の今の状況を分かってか分かってないかは置いといて…彼を見ながら感謝の念を送る。高鳴る胸をおさえながら…
そこでチャイムがなり、私たちはそれぞれ1限目のために席に戻って行った。
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☆北人side☆
彼女は何か隠している。その何かは分からないけど…
だからさっき質問攻めされているのを助けた…
彼女のことを気になっているから…
その日はそのまま話すことなく4限を向かえ、昼休みになり机を4つくっつける。
そこにそう呟いた彩光とあなた、壱馬が集まる。いつもこの4人でご飯を食べていた。
それぞれ玉子焼きとおにぎりを頬張りながら、そう言う彼ら。そしてあなたの方を見つめる…
彼女を抱きしめる彩光…それに少しはにかみながら、
そうつけ加える彼女。それはいつものこと…
勉強会を開くことも、彼女の家はダメってことも…
(前回俺だったし…)
そう言う壱馬の声で今まで考え込んで一言も発していなかったことに気づく。
そんなこんなで今週と来週の土曜日に集まることに決まる。
彼女への疑問を残したまま…
聴きたいけど、踏み込む勇気の出ない想いを抱えたまま…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!