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第39話

カクシゴト【晴樹】
……何か、とんでもない所に来てしまった気がする。



弥生
弥生
……私は、半端じゃないんで!!


ごみ捨て小屋の陰、俺は壁と背中合わせ。


出るタイミングを見失って、
完全に盗み聞いてる感じになってる。



弥生
弥生
先輩が番犬だって言うんなら、
認めさせてみせますよ!




……あぁ。



やっぱり弥生は。




弥生
弥生
見ててくださいよ!





智希 先輩のことが、そんなに────。





本山先輩
本山先輩
……楽しみにしとくわ




本山先輩が戻って行って、
俺はようやく陰から出る。






弥生
弥生
……晴樹





今、俺どんだけ情けない顔してんだろうな。




明らかな失恋の感触が、俺の腹を殴りつける。




でも、それ以上に。





弥生も失恋してしまえなんて思ってしまう、
卑怯で卑劣な自分に慄然ぞっとする。




いっそ取られる前に告ってしまえなんて、
いつもは思わないことを思ってしまう。




弥生
弥生
大丈夫? 体調悪そうだけど
晴樹
晴樹
……別に。大丈夫。
弥生
弥生
弥生
弥生
てか、晴樹ここに何しに来たん?
晴樹
晴樹
あぁ、抜いた草を
一旦捨ててこいって言われて



平静を装って、建付けの悪いドアを開ける。




草の入った袋を放る。






それを後ろからぼうっと見ていた弥生が口を開く。





弥生
弥生
晴樹って、さ
弥生
弥生
好きな人とかいる?


扉を閉めかけていた手を
思いっきり挟んでしまった。いてぇ。



晴樹
晴樹
ったぁ……。 ……何、急に
弥生
弥生
や。気になったから


普通だったら
この質問の仕方は脈アリなんだよなぁ。




晴樹
晴樹
……いるっちゃ、いるけど
弥生
弥生
え、マジマジ!??
誰!! どんな子!!!?



食いつきやべえな。つか弥生お前だけど。



晴樹
晴樹
……
晴樹
晴樹
俺のことパシってくる、
変な方向に頭の回転が速いやつ。
弥生
弥生
え、何それ。その子の何処がいいの?



言っとくけどこれお前だからな!?

いや言わんけど!!




晴樹
晴樹
何処がいいとか……
そんなの、一言じゃ言えない



きっと数えたら何百にもなってしまって。

でもどのいい所も一言で彼女を表すには足りない。




何処が好きとか、何処がいいとか、

そんな理屈をその持ち前の身長で飛び越えて、

そこに彼女弥生はいる。



弥生
弥生
ふぅん……。
なんか聞いてる方が照れるな





まぁ当事者だからな。






弥生
弥生
もう一個質問いい?
晴樹
晴樹
どうぞ
弥生
弥生
どうやったら、
好きな人を大切に出来る?



問いかける目は余りに真摯で無垢で。


俺の事なんて、眼中に無い。




晴樹
晴樹
……そんなの、俺が1番知りたいよ




答えた声は掠れてた。





晴樹
晴樹
大事にしたくて。
幸せになって欲しくて。
でも振り向いて欲しくて。



だけど好きな人弥生には好きな人がいる。





そんなのもう……っ


晴樹
晴樹
気持ち 殺すしか無ぇだろ……っ




思わず零れた言葉に、
弥生が目を見開いて、伏せる。




弥生
弥生
……そう、だよね。
迷惑かけたくないんなら、
何も言わないのが1番で……



その言葉にはっとする。

違う。そうじゃない。


弥生が俺に振り向いてくれたらそりゃ嬉しいけど

それは弥生が苦しい想いしながらでも
先輩への想いを諦めて欲しいってことと
イコールなんかじゃなくて。




晴樹
晴樹
……これはただ単に、
俺の生き方なだけ。



弥生にそんな表情させるくらいなら、
俺が俺の想いを俺の中だけで殺す。


それが俺の生き方なだけで。




晴樹
晴樹
弥生に同じことを
して欲しい訳じゃない




好きな人には笑ってて欲しい。


好きな人の好きな人が俺でも俺じゃなくても、




その恋は、世界で1番優先的に叶って欲しい。





……だから。



晴樹
晴樹
……そだ。
来週、夏祭り 港 であるよな?
晴樹
晴樹
俺、先輩たち 誘ってみようか?
晴樹
晴樹
それで合流しようぜ
弥生
弥生
……マ?




背中を押そう。




大事にする為に。笑って貰う為に。

好きな人貴女好きな人貴女らしくある為に。