あのあと、私と晴樹で、星奈を家に送り届けた。
歩く間も、
晴樹が奢ってくれた缶のコーンスープを
コンビニの前で飲む間も、
星奈はずっと無言だった。
…… そりゃ、そうだよね。
殺されかけて、怖くないはずが無い。
ショックを受けない、はずが無い。
………… 次の日から、大和は学校に来なくなった。
星奈はしばらくは教室に来れてたけど、
晴樹以外の男子と話すのが
どうにもストレスになるみたいで、
保健室登校になった。
星奈は自力で猛勉強して、この高校に受かった。
大和は私立高校に受かったらしいと、
風の噂で聞いた。
パイプ椅子に座った星奈が、下唇を噛んで俯く。
碧の強い口調に、星奈が顔を上げる。
星奈はきょとんとした顔をして、
碧が微笑んで、
私も笑う。
2人揃って 星奈に向かい 敬礼する。
星奈がくすっと吹き出す。
今度は、ちょっと潤んだ目で、
星奈が笑って言う。
晴樹が“小屋”の扉から顔を出し、
皆で溜息をついた。
“小屋”を出る。
友情も、空も、
今は全部が まだまだアオい。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。