あぁ弥生良いなあ 青春やん←
花のJKになんて酷いことを……泣
とか言いつつ笑ってる。
…その笑顔が最高に好きなんです…
なんて
絶対に素直に言いきらんのよね!泣
ほんとはこんな噛みつきたい訳じゃない。
かわいい後輩って思われたいのに。
……先輩のこと、推し始めた頃。
もっと先輩のことを知りたいと思うようになった。
でも、先輩のこと、知れば知るほど
……私には、釣り合わないんじゃないかって
不安が先に立つようになって、
先輩に対して、素直になれなくなった。
軽口ばかり叩くようになった。
素直に
『尊敬してます』って
『先輩すごいですね』って
『先輩、好きです。』って
言えたらどんなに……
そんな言葉を言って欲しい訳じゃ……
ポンポン
頭に他人の体温を感じて、
私の顔は一瞬で真っ赤になった。
そう言って悪戯っぽく笑う。
がくっときた。
ポンポン
……別に、先輩がこんなことするのに
深い理由なんて無いって、もう知ってる。
少人数校で育った男子って
女子に触れるのに結構抵抗無かったりするじゃん?
そのノリなんだよ。
先輩が私にこんなに構ってくれるのも
別に私だからじゃない。
向ける笑顔は、誰に対しても変わらない。
『可愛げのない後輩。』
耳の奥にぐわんと
その言葉がリフレインする。
意志に関わらず
私の顔は笑ってる。
先輩の前だと
どの感情も
素直には出てきてくれない。
ローソン方面に向かうのは、
今日は私と光流先輩だけ。
春の夕方の風は、まだ冷たい。
嬉しいはずの状況が、全く嬉しく感じられない。
手渡されたのは缶コーヒー。
…またその笑顔。
ずるいです先輩 反則っすよ。
温かい缶コーヒーを胸に抱いて
息を吸った。
脱力。
せっかく頑張ったのに…
すると先輩はにやっと笑った。
……聞こえてたんかいっっっ
さらに脱力した私の頭に
ポンポン
やっと言えた『尊敬』だって
ほんとの本音には届かないけれど。
冷たい風の中の貴方の笑顔は
缶コーヒーより暖かでした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。