6月3日 日曜日 A.M.9:30。
県総体が、始まった。
県総体は、今日と明日の2日間にわけて行われて
今日は団体戦、明日は個人戦。
県庁から車で30分ほどの所に、
だだっ広い自然公園がある。
その中にある、大きなフリスビー用の体育館で、
高校のフリスビー部の県総体は行われる。
各校は、公園の中でテントを張って、
休憩や準備はそこでする。
私たちの高校は、
3,4本の木の木陰にテントを張った。
先輩達が、大会を見るのは初めての私たちに
1年の仕事を丁寧に教えてくれた。
碧に手渡す。
上原先輩が引き継いで、
───その後、何事も無く仕事は回り。
うちの高校の番。
先輩達が投射位置に立つ。
主将の先輩が投げる。
50点の風船が割れる。
3年の先輩が投げる。
40点の風船が割れる。
光流先輩が投げる。
スパァンッ
50の風船が割れる。
碧が嬉しそうに小さくガッツポーズをした。
次は平田先輩の番。
細めの目で、じっと見つめるのは50点の風船。
…………あぁ、あの目は。
あの目は、
私が初めて先輩を見た時に
先輩がしていたあの目だ。
あの日の様に、
更に目を細め、
重心を前に移動、
腰をかがめ、
腕を構え、
放つ。
ズパァァンッッッ
断片になった50点の風船。
…………やっぱ最っっ高にかっこいいです。先輩。
夏とともに、県総体も、まだ始まったばかり。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。