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第22話

想い入れ乱れ県総体【茜梨vol.1】
〜少々時を遡る〜


スパァンッッッ

……うん。いい調子。







会場に響き渡る小気味よい風船の割れる音に、
心の中でガッツポーズをして、投射位置を外れる。




3枚投げて、今の所全部50に当たってる。





こんなに調子が良いのは、やっぱり……










次のフリスビーをヘルパーから受け取って、
ちらと2階の観客席を見遣る。



遠くて、ちゃんとは見えないけど、そこにいる。












平田。
















……ぁぁぁぁぁあ 尊い!!!!←←







1年の頃から、ずっと推してきた。
普段はかっこよくて、でも時々見せる笑顔とか
仕草は可愛くて。

知らない顔を見る度に、
どんどん好きになっていった。



まぁ、好きって言っても、恋愛感情っていうよりは
アイドルへの好きみたいな感じだと私は思ってる。



周りの子は、そうは思ってくれないけど(笑)








平田は、さっきの男子の立で4枚全部50に当ててた。


やっぱりすごいなぁって 思うと同時に、
私も頑張らないとなぁ って。


張り切っちゃって、
投射姿勢の確認に夢中になって、


……そういえば
ここ来る前に 水飲むの忘れてたなぁ……。



だからか、こんなに喉が乾いてるの。


ほぼ屋内にいると言っても、熱中症怖いもんね。

後でちゃんと水分取らないと。














パンッッ。






上原が30の風船に当て、下がってきて、
私は投射位置に立つ。














窓から差し込む光が、
カッと強くなったような気がした。



目の前の景色が白っぽい。よく見えない。
「50」と書かれた紫色の風船が、そんな私を嘲笑わらうように右に左にふらふらと揺れる。違う。風船は揺れてない。私の身体が揺れてるんだ。見えない。見えない。でもどうにかフリスビーを構える。嫌だ。私は50に当てるんだ。当てて平田に追いつくんだ。大丈夫。落ち着いて、さっきまでみたいに、ほら、構えて、力を抜いて、腕を鋭く振って────。










パツッ カランカラン…











50の風船に当たったフリスビーは、
しかし、貫かなかった。


思わず膝を折り、観客席を見上げる。













…………そこに、平田はいなかった。