第3話

Chapter. 2
83
2018/12/03 08:31
    次の日。正臣と花は近くのカフェに出かけた。花が泊まった次の日はそのカフェで朝食を摂るのが、二人の暗黙の了解になっている。
いつものウエイトレスさんが、いつもの笑顔で出迎えてくれる。コーヒーとトースト、オレンジジュースとホットケーキといういつものメニューを頼み、花と正臣は窓際の席に座った。
正臣は新聞を読んでいた。第一面には『若者のテレビ離れ 家電製品にも影響か』などと書かれ、学生のTmitter、Imstagramの使用率のグラフが並んでいる。どちらもやっていない花にはよく分からないが、面白いものなのだろうか。
ウエイトレス
ホットケーキ、オレンジジュース、あとトーストとホットコーヒーですね〜
あ、ありがとうございます
    花は急いでテーブルの場所を開け、正臣は新聞紙を畳みながら頭を下げた。
なんの記事見てたの?
正臣
ん?
    トーストを手に取った正臣が眼を上げる。
正臣
ああ、高校生も大変だなあと思ってね
    そう言いながら新聞紙の記事を指差す。そこには『高校生のいじめ    自殺願望の増加の原因か』と書かれている。
自殺願望…………。
    ポツリと呟いた。自殺願望という言葉。聞きなれない言葉であるはずなのに、親近感の湧く言葉。
正臣
どうしたの?
    ハッと眼を上げる。正臣が花の顔を心配そうに覗き込んでいた。
な、何でもない……
    慌ててホットケーキを口に運ぶ。正臣も、それ以上は詮索してこなかった。


ぎこちない雰囲気のまま、正臣と別れる。次に会えるのは来週だ。
変な気、使わせちゃったな……
    花は帰路に足を向けた。

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