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第31話

END
6,062
2020/04/30 05:34
your side



次の日。


化学の授業がないことに感謝しながら1日を過ごし、


放課後、保健室へ向かった。



駿先生に謝らなきゃ。


突然泣き出した上に何も言わず飛び出して帰っちゃったし。


きっとあの後、恭平先生とモメたに違いない。



















ガラガラッ


「駿先生?」


駿先生は見当たらない。









その代わりそこにいたのは…









「恭平先生…」









実験でもないのに白衣を着た、


私を惑わせる白衣の悪魔が、そこにはいた。









恭平「道枝から全部聞いたよ。

昨日あなたが泣いてた理由も、全部。」


「…」









恭平「俺は、お前のこと好きだから。

誰になんと言われようと、お前にどう思われようと、

俺はほろりが好きだよ。」









予想外の言葉に何も返せない。









恭平「てかそれくらいとっくに気づいてると思ってたんだけどな。

ほんと、お前は鈍いね(笑)」


いつものようにふっと笑ったかと思ったら、


また真剣な表情に戻り、


恭平「それだけわかっておいて欲しかったから。」


そう言って保健室を出ていこうとする恭平先生。









グッ









私は思わず、恭平先生の腕を掴んだ。


初めて、自分から恭平先生に触れた。


いつも恭平先生に無理矢理掴まれたり、


強引にキスされたり…


そうやって振り回されてばかりで、


私から彼に触れたことなんてなかったから。


「私も、好きです。

好きで好きでたまらないんです。恭平先生のこと。

誰になんと言われようと。」


そう言った途端、恭平先生の顔つきが変わった。









恭平「じゃあ教えてあげるよ、

自分から男に触れる意味、男に『好き』って言う意味。」









そう言って無理矢理、保健室のベッドに押し倒された。









私は思わずぎゅっと目をつぶる。









恭平「なに期待してんの(笑)」













息がかかるほどの距離でそう呟くと、


恭平先生は私から離れた。


恭平「この続きは、お前が卒業してからね。」



















相変わらず愛想がなくて、意地悪で、嫌味っぽくて。


でも、優しくて。


白衣の悪魔は、


私の前ではたまにその牙(やいば)をしまい、


優しく寄り添ってくれる。





私達の秘密の関係は、卒業式のその日まで。









fin.














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