第3話

590
2018/04/14 03:17




馬車でようやくこれまでの事を理解して 、大佐をちらりと見るとふいに目が合うから驚いて視線を元に戻す 。





『連れ出してごめん 、本当は君のお父様お母様に挨拶をしたかったんだ』






言いながら私の頭を撫でるその手はシルクの純白の手袋を嵌めていて 、力強い男の手 。




「あの 、」





’ 如何して私だったのですか ’





聞こうとしても口は閉じるばかりで




『? 何かあるなら遠慮せずに言ってほしい』








「いえ 、何でもありません 。」







私の事を心配そうに見詰めもう一度頭をそっと撫でる 、まるで大切で直ぐに壊れるなにかに触れる様に 。










・・・







私が思う宮廷は凄く美しい所 、そして綺麗な部屋部屋 。






でも連れてこられたのは 、






『此処があなたの部屋だよ』










「っ 、嘘 .. 」








私を愛おしそうに眺める大佐様とは裏腹に
私の目の前には鉄格子で囲まれた 、まるで罪人が収容される部屋 。






冷たく 、重く 、硬い 。








『俺は用事があるから 、早く入りな ?』





従わないとどんな目に合うのか分からない 。





「行ってらっしゃいませ 、大佐様 。」









大人しく鉄格子の部屋に入り 、大佐様を見送る 。



大佐様が居なくなると一気に熱が引く様に肌寒い 。






『失礼します 、あなた様 』





「は 、はい」




入ってきたのは大佐様のお傍に居る方ではなく 、この屋敷に務めている女の方 。








『こちらがお召し物です 、これを着て下さい此処は寒いでしょう ? 』





そう言って差し出したのは綺麗な衣装 。






「有難うございます」







ガチャンと南京錠を閉め出ていったのを確認し着替え 、大佐様のお帰りを待つ 。






それでも 、長旅で疲れた私はいつの間にか意識を手放し 、夢の中で村の者達を思い出しながら眠りについた 。








プリ小説オーディオドラマ