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それからジョングク様は又 、戦場へと向かった 。
暗く冷たい私の居場所は1人にしては広すぎて 、眠ろうと横になるけど余りに静かで眠りも出来ない 。
『失礼しても 、』
食事を終えた昼下がり 、私に衣服をくれた召使いの方が入ってきた 。
「っはい 、どうぞ御遠慮なく」
よく見れば顔立ちが凄く良くて 、あの時は動揺していて良く顔を見なかったけれど 。
『あなた様 、此方はとても寒いでしょう?』
私の傍まで来ると 、手をそっと握り呟く 。
「大丈夫ですよ 、私は此処でジョングク様をお待ちしないといけない身ですから 。」
如何して此処に来たのだろう 、同情心もあるかもしれない 、けれど私を見詰めるおおきな瞳は私を心から心配しているようにも捉えられた 。
『.. 私の事はジアとお呼びください』
鈴の様な声を漏らし 、此方の様子を伺う様は 、まるで村にいる私の親友ミカサと繋がる 。
「ジアさん 、」
・・・
それからはジアさんがこの屋敷の様子を逐一報告に来てくれた 。
偶にではあるけれど 、未だ1日3食の食事しか運ばれて来ない私の為に街に売っているお菓子などを持ってきてくれ 、2人で食べる 。そんな時間が増えていった 。
ジアさんと過ごす日々が長くなるにつれ 、思い出すのは故郷の事ばかり 。
ある日我慢のできなくなった私は 、
『あなたさん 、本当に良いのですか 、覚悟は出来ているのですか 。』
「私は大丈夫です 、どうか此処から逃れたい 、あれからジョングク様は私を性処理の道具の様に扱います 、愛など何処にあるのか分かりません」
私はあの方にとって 、何なのでしょうか 。
それから私は 、この邸を後にした 。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。