『…っあ、おかえりなさい。ご飯できてるよ。』
松村「ただいま、…あー、ごめん後にするわ。」
『そっか、じゃあ先食べとくね、』
最近明らかに減った会話、スキンシップ。
SixTONESとしてだけでなく松村北斗個人の仕事が増えているのも知っているから、できる限りのサポートもしたいし、邪魔はしたくない。
だけど、
『ちょこっとだけ、寂しいなぁ…、』
テーブルに並んだ2人分の料理を眺めて小さく呟く。
既に寝室へと消えていた北斗にその声は聞こえるはずもなくて。
『いただきます。』
少し冷めてしまったハンバーグ。
北斗に喜んでもらいたくて一生懸命練習して、初めて美味しいと言ってもらえた時の顔は忘れられなくて。
『…あれ、おかしいな、笑』
目の前が歪んで、冷たいものが頬を伝う。
拭っても拭っても止まらない。
松村「…そうだ、あなた……って、」
『え、あ、ほく…っ、』
突然開いた扉になんの準備も出来ず、ただ涙でぐしゃぐしゃの顔が北斗に見られてしまって。
言い訳に口を開いた瞬間、ふわっと香水の香りに包まれた。
『だめだよ、汚れちゃう…』
松村「だめなのは俺の方。」
『でも…っ、』
松村「…るさいな、」
『ん、っ!』
体を引き離そうとした腕を掴まれてそのままキスを落とされる。
いつものように長くて甘い。
『ん…ぅ、っはぁ…』
松村「ごめん、最近全然構ってやれなくて、」
『違うよ、北斗頑張ってるからしょうがないの。』
アイドルと付き合うっていうのはそういうことなのに、我慢できない私が悪い。
松村「…ねぇ、今なに考えてる?」
『え…?』
松村「悪いのは絶対あなたじゃないから。そこ勘違いすんなよ。」
『…うん、っ』
頷くと同時にまた涙が溢れてきて、濡れる頬に唇が触れる。
『汚いよ…、』
松村「汚くない。それに、あなたの全部欲しいから。」
『え、きゃぁっ…!』
抱き上げられたかと思えば着いたところはベッドの上で。
首筋から鎖骨まで、優しいキスが降ってくる。
松村「前まで触れなかった分だから。着いてきて。」
彼の夜には、着いていける気がしません。
ハニレモ読んでたらこれ書きたくなってました(何故)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。