自分が情けなくて……そんな自分が嫌になってきて、悔しくて……
そんな思いが強くなるほど、目から雫が、今にも零れそうになる。
…………ダメだよ。ここで泣いたら、余計に惨めじゃん。
そう思って、唇を強く噛む。
でも、耐えれそうになくて………今はこの場にいたくなくて…
私は、誰にも目線を向けずに、この狭い路地裏から走って逃げた。
____その瞬間に、自分のウィッグが落ちたことにも気づかないまま…………。
私はとにかく走った。
どこへでもいい…。とにかくあそこから早くいなくなってしまいたかった。
走り去る前、誰かの声が聞こえたような気もしたけど、今の私に返事する気力もなく、顔も合わせたくなかった。
……と、周りを見ずに走っていた私だが、気付けばイケブクロの自分の家の前に着いた。
どうやら無意識に着いたらしい。
……あ、そういえば、自分の部屋に制服が届いてるんだよね…。
ちょうど良かったかも…今のうちに部屋に取りに行こう…
と、部屋に入ろうとしたその時…………
誰かが私を引き止める声が聞こえた。
〜次回へ続く〜
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。