それでも、申し訳無さそうな顔をしている一郎さん。
本当に気にしなくても大丈夫なのにな………。
そう言って、一郎さんは頭を下げた。
私はなんて声をかければ良いか分からなかった。
でもきっと、私が何を言ったとしても一郎さんは罪悪感を感じてしまうかもしれない。
なら私が言う言葉は、言いたい言葉は______
そう言うと、一郎さんは顔を上げた。
目を見開いていて、表情だけで一郎さんが何を思っているか分かってしまった。
………そう。
私は自分のウィッグが取れてることなんて気付いていなかった。
あのとき一郎さんが気付いてくれなかったら………
貴方が誰にでも優しい人だから………だから、私は………
私は一郎さんの暖かさに触れ、先程までの虚しい感情なんか忘れ、心からの笑顔を一郎さんへ向けた。
すると一郎さんが目を見開きながら、次第に耳を真っ赤にさせていた。
え………。き、急にどうしたんだろう………?
すると、一郎さんがこちらに近付いてきて、次の瞬間には、私は一郎さんに抱きしめられていた。
_______ッヘ?………………えっ!
ど、どういう状況なの…これッ!?!?////
〜次回へ続く〜
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。