咄嗟にでた私の提案。
木箱の中から、カリカリと音がした。
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私はみたらし団子を、善逸は三色団子を食べた。
タレがツヤツヤ光って、甘くていつもよりもひどく美味しく感じられた。
そのまま2人で歩いていると、善逸は急に立ち止まった。
私は善逸に手を引かれて走った。
善逸が耳まで赤くするから、私も顔が火照る。
いつしか、繋ぐ手さえもドキドキしてしまって。
久しぶりに異性との恋愛感情を味わったみたいだ。
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人通りの少ない路地へまわると、騒がしかったのが嘘みたいに思えてくる。
善逸から差し出されたのは、蒼色のリボンだった。
真ん中にはきらきら輝く宝石のような飾りが付いている。
嬉しい
素直に...善逸が私に贈り物をしてくれた気持ちが。
善逸が、私を……好き?
私、
私は……
善逸がくれたリボンに目を落とす。
善逸が私のことを思って一生懸命選んでくれたのが脳裏に浮かんでくる。
なんだか急に善逸が男の人らしく見えてきて
自分の気持ちに焦った。
的確な返事が出来なくても
今はこのリボンが色褪せないように大切にしよう、
そう思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。