第39話

日谷望美と羽化
210
2022/01/31 13:50
____________話を、しにいこう。


高校を自主退学し、私は引っ越しして、私は今までとは違う学校生活を送っていた。

本当に、全然違うくて。

そう、いわゆる、都会。

何処もかしこも人ばかり、皆ツカツカと歩いていく。

電車は3分おき、でもどれも満員。



少し気圧されつつも、私は目的の場所へ向かう。





駅を抜けて、スマホばっかり見てる人の間を歩く。

心臓が高鳴る。

何を話そうか、いや、十分考えたはずなのに、もし頭が真っ白になったらどうしようかな……
信号を待つその時間すら落ち着かない、何せ私はただの女子高生。

目的地にいるのは、一生かかっても会えない程のお偉いさんなんだから。



人混みに埋もれそうになって、私は必死で地図を凝視する。

えーと、そこの交差点を左、それから……
この灰色のビルの中、12階……





心臓が煩くて、深呼吸する。

足も震えているし、全然落ち着かないまま、私はエレベーターのボタンを押した。


余りにも高級見た目に、余りにも場違いな自分の格好が少し恥ずかしくなった。



いくら制服でも、さすがに浮いてるよね……

どうしよう、失礼な言動はしないように、とにかく落ち着くこと、えーと、それから……
いやいや、違う。


私は私のままでいい、取り繕った敬語なんていらない、はず。











結論に辿り着き、それでも高鳴る鼓動を感じつつ、私は息を吐く。


自分の足音以外の音が無く、少し怖くなったけれど、少しずつ進む。












重い扉に手をかけ、私はドアを引いた。













__________________失礼、します。

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