あなたside
今日も上司の軽いセクハラに耐え、夜遅い時間に
寂しい家に帰る。
それが私の毎日。
だけど、今日は少し違った________
私はいつも暗い公園の前を通る。
昼は子供がたくさんいるのに夜は廃工場のような静かさ。
だけどそれが案外気持ちいい。
その公園の前を通る時だけ、時間が止まっているような感じがする。
何もかも忘れられる。
そんな公園が好きだった。
だけど今日は7つの頭が見えた。
小さい頭が。
近寄ってもいいのか。 近寄らない方がいいのか。
どっちにしようと考えようとしているうちに足は動いた。
そう、7つの小さい頭に。
相手は子供。
私は優しく問いかける。
出来るだけ、優しく。
恐怖を与えないように。
でも、そんなに優しく問いかけたのに、君達の体、小さな体が震えてるんだ。
何に怖がってるの? 私は怖くないよ? 大丈夫。安心して。
言いたい言葉は見つけようとすればするほど
たくさん見つかった。
だけど、質問攻めは嫌いでしょ?
分からないでしょ?
だから、君達が安心する言葉だけ囁くの。
そうか、捨てられたのか。
何て呑気に言ってられるような人間じゃないから
私は、また君達に問いかける
次は、君達が得する事を言ってあげるよ
私が君達の光になってあげるよ________
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。