第7話

6日目
2,036
2019/12/10 08:38
あなたside
はあ。騒がしくなったな。



……午後もあそこで受けるのかぁ。
サボりたいな。
今、座っているベンチにごろんと寝転がる。ひんやりとしていて、でもポカポカの日差しでとても心地がいい。
自然と重みを増す瞼に逆らえず、そのまま寝てしまった。
_______________
うらたぬきside
授業も終礼も終わり、下校時刻になった。
しかし、久遠さんはいつになっても戻ってこない。


明日、早く学校に来てみるか。
先生
先生
あ、転校生ー。
荷物をまとめて席を立とうとした途端、先生から声が掛かる。




……転校生は4人いる。

しかし、どう見ても先生が見ている方向にいるのは俺。
先生
先生
丁度いいなー。うらた、これ資料室によろしく。
俺の机に置かれた分厚い束。
うらたぬき
うらたぬき
うげっ。
先生
先生
頼んだぞー。
先生はそう言って手をヒラヒラさせて教室を出ていった。
坂田
坂田
いやー。うらさんどんまいやなー。
うらたぬき
うらたぬき
うるせー。なんで俺なんだよ。
坂田
坂田
まあまあ、俺も着いてったるわ。
センラ
センラ
じゃあ、センラ達は先帰ってますねー。
志麻
志麻
頑張ー。
うらたぬき
うらたぬき
お前等、優しくねー。
べーと、まーしとセンラにやると見下したような目で見てくるあいつら。
ちっ。覚えてろよ。
坂田
坂田
じゃあ、うらさん行きますかー。
うらたぬき
うらたぬき
でもさー、資料室ってどこなんだ?
坂田
坂田
俺も知らんなー。
坂田
坂田
そこら辺の女子達に聞いてみる?
クラスの女子は化粧が濃かったり香水がきつかったりする。
こういう学校なのかと疑ってしまう。
だから、なるべく関わりたくない。


この中にいじめっ子がいるかもしれないし。
うらたぬき
うらたぬき
……いや、いいや。探そ。
坂田
坂田
そやな。俺も賛成。
しかし、探すと言ってもいらないほど広いこの学校。
うらたぬき
うらたぬき
こりゃ遅くなるな、








ここも、ここも、ここも違う。
うらたぬき
うらたぬき
おーい。見つかんねーぞ。
坂田
坂田
ほんまやなー。
深いため息をつく。
窓に寄りかかってみるとそこから見える景色は今までで見たことない景色だった。
小さな公園と、住宅地の奥から西陽が差す。
うらたぬき
うらたぬき
さかた、さかた。
坂田を手招きする。
坂田
坂田
うわー!綺麗やなー。
うらたぬき
うらたぬき
だろ?
坂田
坂田
てか、公園あったんやなぁ。
うらたぬき
うらたぬき
なあ。昔は無かったのに。
窓を開け、ふちに体重をかける。
うらたぬき
うらたぬき
資料室、いったいどこだよー!
夕日に向かって叫ぶ。
坂田
坂田
もう、疲れた〜。
坂田はペタンとその場に座り込み、ため息をつく。
ほんと、なんでこの学校はこんなに無駄に広いんだ。
どうしたもんかと外を見渡す。
うらたぬき
うらたぬき
ん?
坂田
坂田
ん、なんや?
うらたぬき
うらたぬき
誰か寝てる。
坂田
坂田
まさか〜!
うらたぬき
うらたぬき
いやいや、まじまじ。
坂田
坂田
ないない。だって寝れるような所あった?
うらたぬき
うらたぬき
1つ、ベンチがある。
坂田
坂田
…………ほんまに?
うらたぬき
うらたぬき
うん。
坂田
坂田
だってほとんどの生徒はもう帰ってて俺らぐらいやないの?
もう、時計は6時を回っていてこの学校は5時半が最終下校時刻。
まあ、俺たちはこれ置いてからじゃなきゃ帰れないけどっ!
坂田
坂田
…まじや。女子やん。
坂田も窓に駆け寄り、下を覗く。
覗いた先には短い栗色の髪の毛の髪の毛をした女の子が寝ている。
うらたぬき
うらたぬき
声、掛けとく?
坂田
坂田
あのままだったらダメやもんね。
うらたぬき
うらたぬき
俺達ももう、帰ろーぜ。見つかんねーよ。
坂田
坂田
そうやな。転校したばっかで分かりませんでしたー、って言っとこ。
うらたぬき
うらたぬき
そうしよう。
俺達は資料室を探すことを諦め、教室へ戻る。
もう、誰も残っていなくバッグも3つしか机の横に掛かっていない。






















……ん?3つ?
俺と、坂田と、あと……誰だ?
うらたぬき
うらたぬき
坂田。そのバッグ誰のだ?
坂田
坂田
このバッグ?えーと…久遠さんの席や!
うらたぬき
うらたぬき
え、じゃああの女の子って久遠さん!?
坂田
坂田
可能性は高いな……。
うらたぬき
うらたぬき
坂田、急げ!チャンスだ!
坂田
坂田
う、うん!
授業に顔を出さず、終礼になっても帰ってこなかった久遠さん。
もし、あの人が久遠さんだったら聞くチャンスだ!
俺達は彼女が寝ている場所に向かって走ってった。
何度も事務の先生に怒られたけど……。

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