起きてみると空は茜色に染っていた。
生徒の気配もなく、そのまま荷物を取りに教室へ戻る。
案の定、私の机にはたくさんのラクガキが施されていた。
机に触れながら一つずつ単語を読んでいく。
私はそう言い、学校をあとにした。
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お母さんの靴はあるのに、
帽子もあるのに、
傘もあるのに、
お母さんだけいない。
グー
お腹から空腹の音がなる。
スーパーへ向かう。
しばらく行かなくていいように賞味期限の長いものをできるだけ多く買った。
はっきり言って持って帰る時、大変だった。
そのまま家に帰ったら弁当を温め、お風呂に入りベッドに向かう。
「明日、何かが変わればいいのに。」
そんなことを思いながら眠りにつく。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。