第14話

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2021/08/11 09:02





北人side






あなたという女の子がグループに入ってから。

みんなどんどん仲良くなってくけど俺はどうしても無理だった。

人見知りで、女の人と話すのが苦手なのもあるけど。

なにより女の子が入れることに対して疑問しか無かった。
壱馬
あなた新潟出身なんだって。
翔吾
だから肌白いのか。
壱馬
それ関係あるん?笑
壱馬と翔吾が目の前であなたの話をするけど、まだ俺は追いつけてない。

きっと2人はそれを気づいててわざと目の前で話してるんだ。

…余計なお世話すぎる。
翔吾
あ、あとあなたは韓国と日本のハーフなんでしょ?
壱馬
らしいな。
あの子の話を俺の目の前でしないでよ。

正直、HIROさんのコネで入れたんじゃないかって思っちゃう。

だって女の子一人が入れるわけないじゃん…?

そんな疑問と不満がデビューまで続いて、あなたとはほとんど話さないままデビューした。

デビューしてから、みんなさらに磨きをかけてて。

ボーカルもボイトレ三昧だった。
RIKU
うわあ〜疲れたね〜。
壱馬
早く帰りましょう、
壱馬とRIKUさんが早足で帰ろうとしてる中、自販機の横にあるソファで寝てるあなたが見えた。

RIKUさんと壱馬は気づかず、そのまま歩いていってしまった。

その時、初めてあなたをまじまじと見た。

…こんなに細かったんだ。

…こんなに綺麗な顔立ちしてたんだ、

そう思いながら、女の子が1人てこんなとこで寝てて無防備すぎる。
北人
……ねえ、
あなた

………

北人
…こんなとこで寝てちゃダメじゃん…
うっすら目を開けたあなたにそう言うと、

あなたは静かに涙を流した。

俺の頭は思考停止。

なんでいきなり泣くんだ…?
あなた

ごめっ…ごめんっ…

携帯を握りしめて涙を流し続けるあなた。

それで気づいた。

ああ…追い込んでるんだなあって。

やっぱり女の子一人が男大人数のグループにいることは批判されることも多かった。

それは誰もが想像してたことだった。

でも、その分あなたは努力して認められようとしてて。

認めてくれてる人も増えてきた。

それでも、まだ自分を追い込むなんて、
あなた

………私は、RAMPAGEに要らない、

北人
…は?
あなた

北人だって思ってるでしょ、?私は要らないって、邪魔だって、

確かに前は思ってた。

でも、練習が終わってもまだ残って自主練したり、

休みの日まで練習してる姿みたら、あなたがRAMPAGEに入った理由もわかった気がした。

要らないなんて思ってない、邪魔なんて思ってない。

むしろ…メンバーが笑えてるのはあなたのおかげなんだと思う、
北人
思ってないよ。
あなた

…本当のこと言って。

北人
言ってるよ。誰もあなたが邪魔なんて、要らないなんて思ってない。
あなたの目を見て言えば、どんどん溜まってく涙。

…まだ泣くの?

そう思いながら、あなたの涙を拭いてあげれば、また泣き出して。

たくさん、溜めてたんだな、
彰吾
うっわ、びっくりした、え?あなた?
北人
あ、はい、そうです、
彰吾
なんで泣いてんの?
北人
…多分、ストレス…?
彰吾
あ〜…とりあえずここじゃあれだし、
そう言ってやましょーさんがあなたの背中を摩りながら、部屋に入っていった。

俺の態度も、あなたを追い詰めてたのかもしれない。

そう思えば、なんとなく常に難しい顔をしてた理由がわかる。

…あの小さな体で、溜め込んで追い込んで、

いつか壊れちゃいそうだった、今にも消えちゃいそうだった。

壱馬やみんなが過保護になる理由がわかった。

部屋に入れば、目を赤くしてありがとうごめんねと言って笑うあなたがいて。

俺こそごめんしか言えなかったけど、これからたくさん返していこうと思った。




健太
え、それであなたにこんなべったりになったの?
北人
あなたは俺が守るって決めたんです。
健太
…ちょっとわからん…
あなた

私もほんとにわからないです。

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