突然 LINEからメッセージが来た。
それは意外な人からの頼み事だった。
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紙コップ越しのほのかなコーヒーの暖かみが手を暖めた。
片手にコーヒーを。
もう片方の手でスマホを握っていた。
画面には彼からのLINE。
「12月1日の11時、___で待っていてほしい。」 22:51
画面にはそれだけ書いてあった
過去のLINEの会話は約2ヶ月前と言ったとこか。
突然連絡が来たものだから大急ぎで準備をし、途中でコーヒーを買ったところだ。
12月1日。
昨日から1日しか経ってないはずなのに気温がグッと下がった、寒い日だった。
なぜ11時に、、、と手を震わせながら思う。
それに久々の連絡がこんなことなんて何かあったのだろうか?
雪でも降りそうなある場所の前。
道端で伸びてる雑草と一輪の花。
人通りのないこの場で俺はただ1人を待つ。
はぁっ、、、
白い息が空気に溶け込む。
ため息もしたくなるぐらいだ。
気を落ち着かせるためにコーヒーを1口含んだ。
その時だった。
俺の目にはコーヒーに反射した揺れる自分ともうひとつ。人が目の前に立っているように見えた。
慌ててこの目で目の前の人物を凝視した。
赤いコートを着た男性。毛先も少し赤いようだ。
と思えば耳も頬も赤色にボヤけていて、白い息が連発して空気と同化する。
昔から何度も見た彼は走って来たみたいだ。
こちらをジッと見つめ、ニコッと笑う。
この声も、笑う彼の顔も。
いつも隣で見てきたことだ。
思考を回らせながら考えた。今することは__。
キヨ君だった。本当に来てくれたんだ、、、。
2ヶ月ぶりの会話がこんなところで、こんな気温で、こんな顔で。
懐かしい顔だね。、、、そう言いたかった。
でも今は聞きたいことが一つだけ。
彼はまだ息が上がっているらしい。
質問に質問を重ねて悪いと思っている。
だけどどうしても聞きたかった。今までのこと、彼のこと、、、いや、”キヨ君”のこと。
急に、、、?今日は12月1日。
それだけだ、、、。
図星、、、と言うかそんな顔に出てたか?
そ、それだけ、、、?
2ヶ月も話せてなかったのに今更、、、?
何故か声を震わしていた。
明らかに様子がおかしいのに、、、
こんな中でもキヨ君はそうやってふざけて隠す。
昔と変わってないや、、、。
キヨ君が辛そうだから、、、
真似してふざけてみた。キヨ君はニコッと笑ってくれた。
12月2日。今日は俺の実況記念日だった。
ずっと昔から変わらない。
誰かを思いやれる優しく、誰かのことをよく理解している人だった。
2ヶ月話したかったのに今日のサプライズのために我慢してた、くだらない日々を続けて来てくれた。
どうでもいいってことにも全力で、
前身してたのはキヨ君だよ。
今まで俺の隣に居てくれてありがとう。
これからも俺達の足跡はずっと消えないから。
未来の足跡は必ず2つで。同じ道を歩もうよ。
これからも 「君と笑うだけ」。
気温の中で 冷めたコーヒーは
俺達2人をゆらゆらと映していた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。