第19話

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2021/08/06 02:24
向井side



「ほな…」

「これどーしよか」



目の前の光景をみんなで眺める









夕飯を食べ終え後片付けを済ました俺達は大量に送られてきた滝沢くんからの雨音ちゃんへの荷物を眺めていた




「ドレッサーとかタンスとかは明日の方がいいよな。時間も時間だし近所迷惑になるわ」
とふっかさん



「服めっちゃ多くない?これ全部タンスに入るの?」
大量に送られてきた服を1枚手に持ってしげしげと眺めるめめ


「ねぇ、やっぱり化粧水とか化粧品ないんだけど…滝沢くんわかんなかったのかな」としょっぴーが雨音ちゃんに聞くと


「化粧水とか、そーゆーの私使った事ないから……」と雨音ちゃん

「え…?今まで使った事なくてその肌なの?どーなってんの??」

しょっぴーが雨音ちゃんの顔をまじまじと見ている





「雨音ちゃん、まだなんか必要そうなもんとか欲しいもんある?俺ら明日休みやし買い出し行けるで」と、俺が言うと



送られてきた荷物を丁寧に見ながら





「本…かな…」と小さく呟いた



「教材?」
「マンガ読むの?!」

同時に阿部ちゃんと佐久間くんが聞く



確かに送られてきた荷物の中にはそういった趣味的な物は1個もあらへんかった

雨音ちゃんの趣味は滝沢くんでもわからんかったんやな




「私…小説が好きで。あ、マンガもたまに読むけど。読んでる間は本の世界に没頭できるから」


「わっかる〜!!マンガいいよね?!」と佐久間くんが嬉しそうに言うのを
「小説って言ってるでしょ」と頭をポンポンしながら阿部ちゃんが言う




「それじゃ明日ちょうどいいしショッピングモール行ってみるか」
照兄の提案にみんなイェーイ!と喜ぶ



「土曜日だけど人多いかな」と、舘様が呟く


「あ、そっか…」と言う雨音ちゃんに

「大丈〜夫!変装すればいいんだもん!」とニッコリ笑うラウール



学校と仕事の両立で忙しいラウール
久しぶりのメンバー全員での休日がきっと嬉しいんやろな





「とりあえず部屋に持って行けそうな物は持って行く?」とめめが聞くと


雨音ちゃんは頷き大量の服の前まで行くとガバッと両手で抱え込んだ


もちろん全部は持てるはずもなく手の隙間から垂れとる服もあればバザバサと手元から落ちていく服もある



唖然と見ていた俺の横をめめが
「こんだけ男手あるんだから頼りな?」と雨音ちゃんにニッコリ笑う



一瞬ポカンとした雨音ちゃんは
「でも自分のだから。自分で持って行く」
とキッパリ言い切りそのままリビングをフラフラと出て行った





「めめスマイルに堕ちんかった子初めて見たわ…」
おれが言うと


「堕とすつもりもないけど」とめめは苦笑した



「でもこれ全部は無理でしょ」と言いながらダンボール箱を担ぎ雨音ちゃんの後を追うめめ




「俺も手伝うー!」と佐久間くんもヒョイと荷物を担ぎそれに続いてみんなゾロゾロと荷物を手に雨音ちゃんの後を追う





俺も荷物を持った時ふと残ってる服を見た


雨音ちゃんの服は全部新しい


家から持ってくる事できんかったって事やんな…





滝沢くんのあの真剣な顔と雨音ちゃんの義理の兄を拒絶する言葉


なんとなく予想はつく





言葉は発してくれるし同じ空間にはおってくれる


それでもまだ1度も笑った顔を見てへん




明日は笑ってくれるとええな







そんな事を考えながら荷物を雨音ちゃんの部屋まで送り届けてみんな明日に備えて寝ることにした

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