佐久間side
車が大きめのショッピングモールの駐車場に着いた
「輝いつもありがと」
ふっかの言葉にみんなが「ありがとー!」と叫ぶ
「それじゃどーする?10人全員で動くのは目立つよな」と照が言う
「だったら一旦みんな別行動する?自分の欲しい物とか先に買って後からどこかで合流して雨音ちゃんの必要な物買うとか」とふっか
「俺化粧品買いたい」
「それ俺も行くわ」
「俺も行きます」
とめめとふっか
「俺は筋トレグッズ見たいかな〜」と照が言うと
「輝兄途中まで一緒に行かん?俺カメラのレンズとか見たいから」
と康二
「俺はキッチン用品見てくる。新しいまな板と包丁欲しい」と舘様が言うと
「僕も行こうかな!」とラウールが舘様のそばに寄る
残ったのは俺と雨音ちゃんと阿部ちゃん
「佐久間どっか行きたいとこあんの?」と阿部ちゃんに聞かれ
「俺は漫画!だから本屋かな!」と答えると
「俺も参考書見に行きたい。雨音ちゃんは小説見に行く?」と雨音ちゃんに聞く
頷いた雨音ちゃんを見て3人で歩き出す
「雨音ちゃんてどんな小説読むの?」と阿部ちゃんが聞くと
少し上を向いて考えている様子の雨音ちゃん
その姿すら可愛いです…はい
「そうですね…ミステリー小説とかが多いです」
「とゆーか、そうゆうのばっかですね…」と苦笑いする雨音ちゃん
「ミステリー小説か〜俺もよく読むよ。今度俺持ってる小説とか読んでみる?」
阿部ちゃんと雨音ちゃんの会話が弾む
ミステリーとか俺全然わかんねぇぞ……
俺の顔を見てハッとした雨音ちゃんが
「佐久間さんは、どんな漫画読むんですか?」と慌てて聞いてきてくれた
気を利かしてくれてる…もぉぉ!!好き!!!
「俺はね〜!基本なんでも読むなぁ少女漫画とかも読むし」
そう答えると
「そうなんですか?私漫画も好きで読むんですけど、佐久間さんも今度オススメの漫画とか読ませてもらえないですか?」と聞いてきてくれた
「いいの?!俺部屋にいっぱいあるよ?!全部貸してもいいくらいいっぱいオススメあるんだけど!!」
俺が言うと目をパチクリさせた後、それは楽しみですと雨音ちゃんが小さく笑った
本屋に着くとそれぞれ気になるコーナーに行き本を見定める
レジ前に行くとすでに阿部ちゃんと雨音ちゃんが本を片手に待っていた
「ごめん!久しぶりに本屋さん来たら新巻出てるし面白そうな新しい漫画出てるし時間かかっちゃった」
駆け寄りながらそう言うと
「俺らもさっき来たとこだし大丈夫」と阿部ちゃんが言う
横で頷いている雨音ちゃんが手にしている小説を阿部ちゃんがヒョイと取り上げた
俺も雨音ちゃんも驚いて阿部ちゃんを見ると
「入居祝い?」と笑いながら阿部ちゃんがレジに向かう
えー!!俺も雨音ちゃんの分払うつもりだったのに先越された!!!
「阿部ちゃんずりー!」俺が駆け寄りながら言うと
「早い者勝ち」と笑う阿部ちゃん
雨音ちゃんも駆け寄りながら
「阿部さん!私大丈夫です!お金少しならありますし!」と雨音ちゃんが慌ててポケットから千円を取り出した
それを見た俺と阿部ちゃん
「雨音ちゃん、財布は?」と俺が聞くと
「滝沢君が来てくれた時慌てて家から出たんです…なので財布とか何も持ってない状態で出てきたので…ポケットに入れてた千円しか…」と恥ずかしそうに言う
くしゃくしゃになった千円を手のひらに乗せて見つめる俺たち
「それは大事に取っときな?」と阿部ちゃんが笑って雨音ちゃんに言う
「よし!小説は阿部ちゃんに買ってもらって財布見に行くか!」と俺が言うと
「えぇっ?!でも」雨音ちゃんの言葉を遮って
「いいね、そうしよ!」と阿部ちゃん
レジカウンターに参考書と小説を置く阿部ちゃんに冗談で
「これも〜」と漫画を置くと
「なんでだよ」と笑いながら少し考えてから店員さんに「これもお願いします」と阿部ちゃん
「え?!いいの?!」と俺が聞くと
「財布いいやつ買ってあげて」とお会計をしながら小さく話す阿部ちゃん
「がってんでやんす!」俺が言うとふふっと笑う阿部ちゃん
頼んだよと阿部ちゃんが俺の頭をポンッと叩いた
会計を済ませた小説の入った袋を雨音ちゃんに渡さずそのまま行くよーと言いながら歩き出す阿部ちゃん
かっこいいかよ笑
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。