第17話

live together
297
2021/08/05 02:36
岩本side


「俺達が怖い?」
俺の言葉に目を見開く雨音ちゃん

「雨音ちゃんはどうして欲しい?部屋に…内側から鍵をかけれるようにして欲しい?干渉しないで欲しい?」



「でもっ…!」ラウールが何か言い出そうとしたのをふっかが手で制している



「急に見ず知らずの人達と一緒に住めとか、しかも野郎ばっかでさ。信用しろって方が難しいよね」


雨音ちゃんはジッと俺を見ながら話しを聞いている


「でも…も〜無関係じゃないんだ。行く場所がないならここにいて、俺達雨音ちゃんを傷つけるような事は絶対しない。家族になりたいんだ。」


雨音ちゃんが一瞬ハッとした顔をして俯く



「追い出さないんですか…?」小さな声で聞いてくる雨音ちゃん
その手はギュッと握りしめている



「なんで?滝沢くんが連れてきた猫ちゃんにびっくりして引っ掻かれただけなのに?」と笑ってみせる


「照が猫ちゃんて言うの…」笑いを堪えている佐久間


「黒猫ちゃんだね」舘様が頷きながら言うと
室内の緊張が溶けてみんな笑い出した



「ここにいていいんですか…」



雨音ちゃんの言葉に手を上げて
「僕お兄ちゃんばっかだったからお姉ちゃん欲しい!!」とラウールが答える

「猫のお姉ちゃんでいいの?」とめめが聞くとリビングがドッと騒がしくなった


「ねぇ、ほんとに飼うならさ、やっぱり首輪必要?明日休みだしペットショップ行く?」


翔太が真剣に悩み始めると
「しょっぴー!飼うとかやめて!エロいエロい!でも首輪するなら赤がいいと思うねん」
と康二


「やめくださーい。高校生がいまーす」
と、ふっか
その横で笑う阿部ちゃん



いつものメンバーだ






「で、雨音ちゃんはどうしたい?」
俺の言葉にみんなが静かになる




「私……迷惑じゃなければ…ここにいさせて欲しい…です…」
俯く雨音ちゃん




「じゃ、雨音ちゃんも今日から家族だね」と阿部ちゃん


やったー!!と騒ぎ出すラウールと佐久間







雨音ちゃんの過去は敢えて聞かない
俺達がズケズケとこの子の過去の傷に触れてはいけない気がしたから




みんなを眺めてると

「あの…ほんとにごめんなさい。傷…痛くないですか…」
と雨音ちゃんがこちらを見て心配そうな顔をしている



「大丈夫!」とニッコリ笑ってみせるとほっとした顔をする雨音ちゃん




「家族になるなら!」
急に俺の肩を抱きながらふっかが言う


「敬語は禁止!あと!部屋にいるのもいいけどさ、ご飯はみんなで食べよう?舘様の作るご飯はそんじょそこらのお店より美味しいよ?」とふっかが笑う


小さく頷く雨音ちゃん






「それじゃ、そろそろご飯にしようか。雨音ちゃんも食べるよね?」
舘様の言葉にチラリと俺とふっかの顔を見てから舘様に頷く雨音ちゃん



それを見ていたラウールが
「最年少の特権で雨音ちゃんは僕の隣ね?!」
と、自分の席の隣を確保する



ずるいと口々に文句を言いながらも各々席に座ったり舘様の手伝いをしに行くメンバー





どーしていいかわからず立ち止まっている雨音ちゃんの背中に手を伸ばそうとして引っ込める


それを見ていたふっかが歩き出しながら
「舘様今日のご飯なにー?雨音ちゃんもおいで!」と声をかけた




「雨音ちゃん!ここね?!」ラウールが嬉しそうに隣の椅子を叩く


おずおずと席に向かいながら後ろを振り返り俺を見る雨音ちゃん



ニコッと笑って頷き、俺も歩き始めると雨音ちゃんも席に向かう






「あ、ホットケーキ…」
と、テーブルの上に置いてあったホットケーキを片付けようとする舘様に向かって声をあげる雨音ちゃん


「朝用に作ったんだけど、片すね」と舘様が笑ってキッチンに持っていこうとするのを


「食べる!食べるから!」と慌てて言う雨音ちゃん

雨音ちゃんの急な大きな声にびっくりしていると

「せっかく作ってくれたのに…ごめんなさい。食べます…あ……食べま……ん…?食べる…」
言い終わると顔を真っ赤にして俯く




敬語禁止を思い出して言い直す雨音ちゃんに


みんなが腹を抱えて笑い転げた

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